慈眼院
じげんいん □大阪府泉佐野市
風雅を極めた、別世界の多宝塔。
誰も気付かないような世界の片隅にひっそりと、しかし凛然として佇む多宝塔。ようやく見つけた場所は、日常の真反対にあるかのような別世界。その別世界の中心であるように、慈眼院の多宝塔が聳え立っています。その姿はあらゆる神経や思考を一点に集めさせる、特別な存在感を放っています。一目見た時からその不思議な魅力の虜になってしまう、風雅を極めた姿とは。
表向きは、小さくて地味なお寺。
慈眼院は泉佐野市の東部にある寺院。天武天皇の勅願で673年に開創されたと伝えられています。当初は、井堰山願成就寺・無辺光院と呼ばれていました。創建以来、聖武天皇や後村上天皇などの庇護を受け、また空海によって堂宇が建てられたほか、江戸時代からは京都仁和寺の末寺となり現在に至ります。
今の慈眼院は、小さなお寺です。山門と呼べるほどのものもなく、コンクリートの塀で囲まれた境内には、近代的な本堂とその横の寺務所くらいしか見当たりません。鐘楼に至っては境内の外のアスファルトの上にポツンと置かれているのです。
慈眼院の多宝塔は、日本三名塔に数えられる。
お目当ての多宝塔は、本堂の裏手にあります。そこは先に述べたように、寂れた慈眼院の表側とは完全に別世界です。そこは緑の杜に包まれ、苔むした地面と真上に青空を冠した、それだけの世界。多宝塔はその中で、物語の主役のように佇んでいました。
多宝塔とは一般的に下層が方形、上層が円形の二重塔のことで、高野山に空海が築いた根本大塔を模して各地に建立されたもの。慈眼院の多宝塔は高さ約10mほど。一層目二層目ともに躯体は細く、スマートなシルエットです。そのわりには屋根は広く、独特の形状。鎌倉時代に造られたもので、多宝塔として国内に6例しかない国宝に指定されています。またその中でも石山寺、高野山金剛三昧院の塔と並ぶ日本三名塔に数えられています。
緑の静けさの中に佇む、重文の金堂。
また多宝塔の隣に建つ金堂も、素晴らしい歴史的建造物です。同じく鎌倉時代に建立されたお堂で、こちらは国の重要文化財に指定されているもの。小ぶりなサイズなのが特徴的で、多宝塔と同じように緑に包まれて静けさの中に佇んでいます。多宝塔と金堂は隣の日根神社の境内から見ることも出来ます。
慈眼院の境内を抜ける、鎌倉時代の用水路。
その日根神社から慈眼院の境内を抜ける小さな川が流れています。井川(ゆかわ)といい、正確には農作のための用水路なんですが、これが造られたのはなんと鎌倉時代。当時このあたりは日根荘と呼ばれた荘園であり、現代に至るまで多くの恵みをもたらした用水なのです。慈眼院境内はその日根荘遺跡として国の史跡にも指定されているのですが、その形跡は見つけることができませんでした。
でもとにかく、国宝の多宝塔を見るだけでも十二分に価値のある名刹です。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 慈眼院 |
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所在地 | 大阪府泉佐野市日根野626 |
問い合わせ先 | 072-467-0092 | 慈眼院 |
休業日 | - |
料金 | 入山料:200円 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://www.jigenin.or.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/慈眼院 |
食べログ | - |
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