孝恩寺
こうおんじ □大阪府貝塚市
まさかの場所で、国宝の観音堂。
孝恩寺は大阪府貝塚市東部にある小さなお寺。丘陵地帯の住宅地の片隅に隠れるように、静かに佇んでいます。幹線道路から逸れて奥に入る上に、道案内の標識もほとんどなく、初めてなら迷ってしまうかもしれません。しかも通り過ぎてしまいそうなくらい町並みに馴染んでいるので要注意。無料の参拝者用駐車場も町角になんとか見つかる程度です。境内も小さく、また住職の自宅もあるため、一見しただけだとお寺ではないみたい。でも孝恩寺には、なんと国宝の建造物があるのです。
静けさが、体に染み込んでくる。
孝恩寺で見られるのは、国宝の観音堂。建てる時に釘を一切使っていないので「木積の釘無堂」とも呼ばれている鎌倉時代の建築で、大阪府では最古クラスの木造建築物です。日本古来の和様を基礎としながらも、当時大陸より伝来した禅宗様を取り入れた折衷様式で、その文化的価値から国宝に指定されているのです。令和になってから大規模な改修が行われて、今は中に入ることもできます。がらんとした外陣には止まった時間が支配していて、とにかく静けさが体に染み込んでくるようです。
実はこの観音堂、元々は孝恩寺の建物ではありませんでした。はじめは8世紀前半に行基によって開創された観音寺というお寺の本堂で長らく歴史に名を刻んできましたが、残念なことに明治時代に廃寺となってしまいます。しばらくは観音堂だけが残っていましたが、大正時代になって孝恩寺の境内となり、観音堂も引き継がれました。
石灯籠や石仏が、緑と戯れる境内。
境内はとても綺麗にされていて、美しく剪定された多種多様な木が植えられています。石灯籠や石仏がその合間に置かれ、ちょっとした庭園のようです。その境内の奥には宝物殿があります。そしてその中には国の重要文化財に指定されている仏像が、なんと19体も納められているのです。まさかこんな田舎の小さな寺に、ここまでの数の宝物があるなんて。でも見学するには予約が必要だそうで、この日は見ることが出来ませんでした。
自宅の真横に、国宝の建物があるなんて。
ちなみにその19体の仏像群も元は観音寺の寺宝でしたが、戦国時代の最中に観音寺が焼き討ちにあった際、地元の住民が仏像を守るために近くの池に沈めて隠したという逸話が残っています。500年近くも昔の話なのに人々の篤い信仰心を感じられることって、よくよく考えたら不思議な気持ちになってきます。自分にも理解できるのは、日本人の血が流れているからなのかな、なんてことをぼんやり考えながら見た観音堂でした。
ところで自宅の真横に国宝の建物があるなんて、一体毎日どんな感覚になるんだろうと、境内の中にある家を見ながら思ったりもしたのでした。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 孝恩寺 |
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所在地 | 大阪府貝塚市木積798 |
問い合わせ先 | 072-446-2360 | 孝恩寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/孝恩寺 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1023510-d8800159-Reviews-Kon_ji_Temple-Kaizuka_Osaka_Prefecture_Kinki.html |
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