ニテコ池
にてこいけ □兵庫県西宮市
「火垂るの墓」のモデルとなった、風光明媚な池。
桜美しい夙川の東側、やや小高い丘の上にあるニテコ池。さらに東側には広田神社もあり、歴史と風光が印象的なエリアにあります。また周辺は阪神間きっての高級住宅街で、各界の有力者のお屋敷が並ぶことでも知られています。かつてはパナソニック創業者の松下幸之助氏の屋敷やアメリカ総領事公邸があったり、今でも驚くほどの豪邸が並んでいたりします。ニテコ池はそんな街並みの中に潤いと開放感を与えるように、静かな水を湛えています。
ニテコ池のシンボル、中池の取水塔。
元々は室町時代、えびす神社の総本社として知られる西宮神社の塀を作る際に、良質な土を掘り出した跡に出来たのがニテコ池。掘り出した土を「練ってこい」という言葉が訛って「ニテコ」と呼ばれるようになったのだそう。
そして長い歴史の中で大正時代になると、上水道のための越水浄水場の貯水池として利用されるようになりました。
南北に長いニテコ池は、池を横切る2本の堤によって上池、中池、下池の3つに分かれています。そのうちの中池に取水塔が設置されたのですが、これが今でもそのまま残っていて、阪神間モダニズムを象徴するような意匠が素敵です。
甲山を象徴とした、特別な風景。
また下池の南側から眺めるニテコ池の風景が秀逸。南側から北方面を見ることになるのですが、両サイドには池を囲む木々が蒼く、静かな水面には空がそっくりそのまま鏡のように映っています。そして真正面には、このあたりの象徴的な風景である甲山が見えます。右手前には取水塔の意匠を連想させる、観測塔のような建物が下池に立っています。これがまた絶妙なデザインで、ニテコ池の風景を独特のものにしています。単なる溜め池ではない、特別な情景がニテコ池にはあるのです。
あの防空壕があった、映画の舞台。
もうひとつ、ニテコ池にまつわるトピックスがあります。それは今回ニテコ池を訪ねてみようと思ったきっかけなのですが、ジブリのアニメ映画「火垂るの墓」の舞台であったことです。主人公の清太と節子が暮らしたあの池のほとりの防空壕、それがあった場所こそ、このニテコ池なのです。原作者の野坂昭如氏の実体験をもとに書かれた物語は、彼が当時住んでいたこの地に実際にあった横穴壕を舞台としたのです。下池のほとりに、昭和40年代まで実際に残っていたそうです。
実話のように感じられる、不思議なリアリティ。
ニテコ池の東側に西宮震災記念碑公園があり、その一角に2020年、「小説 火垂るの墓 誕生の地」という記念碑が建てられました。幼い兄妹が戦時下に親を亡くし、ふたりで懸命に戦後日本を生き抜こうとするものの最後は力尽きてしまう悲しい物語。今では想像もできないほど穏やかで平和なニテコ池ですが、実際にこの場所で2人が暮らしていたかのような錯覚があり、不思議なリアリティを感じるのもまた事実です。記念碑とニテコ池を通じて、野坂昭如氏が描きたかったものに触れることができました。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | ニテコ池 |
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所在地 | 兵庫県西宮市満池谷町12 |
問い合わせ先 | 0798-74-6616 | 西宮市役所上下水道局 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | ー |
wikipedia | ー |
食べログ | ー |
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