小林一三記念館
こばやしいちぞうきねんかん □大阪府池田市
阪急の原点と、偉人の足跡を辿る資料館。
阪急電鉄の創始者として著名な故小林一三氏。ただ功績はそれだけではありません。沿線での住宅地開発から百貨店などの流通施設、娯楽施設、さらに映画産業、都市開発まで、鉄道を中心として街づくりもちろん、そこから広がる経済そのものを創出し発展させ、まさに日本の鉄道経営の根幹を作り上げた偉人です。阪急電鉄、阪急百貨店、宝塚歌劇団、東宝など現代につながる数多くの事業を次々に起業し、現在の阪急阪神東宝グループにまで脈々と受け継がれる遺伝子そのものと言えるかもしれません。また戦前には商工大臣、戦後には国務大臣を務めるなど、国政にも参画した重鎮なのです。
積み重ねた歴史と、威厳を讃えて。
小林一三氏は茶道を嗜み、また美術品や工芸品の蒐集家としても知られ、いずれもその道を極めた人物として「逸翁」という雅号で活躍した人物でもあります。まさに幅広い見識と独創性、また類稀な行動力で現代に生きる人々にもなお影響を与え続ける偉人のひとり。
そして彼が暮らした旧居を利用して、その系譜や美術品の一部、また様々な事業にまつわる展示がされているのが小林一三記念館です。阪急発祥の地と言われる池田市の街中に、積み重ねた歴史と威厳を讃えて佇んでいます。
かつては、美術館として利用されていた。
正門をくぐると正面に雅俗山荘と呼ばれる古い洋館、右手には白梅館という展示館があり、この2棟が小林一三記念館のメインです。また和風の庭園には3つの茶室があり、逸翁の茶人としての功績に触れることもできます。
雅俗山荘は芸術文化「雅」と日常の暮らし「俗」が一体として存在する私邸として、自然豊かな五月山の麓に建てられました。1937年のこと。逸翁はこの私邸で日々を暮らし、また各界の著名人を招いては茶会を開きました。逸翁の没した1957年に、この建物は逸翁美術館として再利用されます。氏が長年に渡り集めたコレクションが鑑賞できる美術館でした。2010年には近くに新しく逸翁美術館が建てられ、それ以降は小林一三氏の業績を展示する記念館として使われています。
吹き抜けのロビーは、まさに名館の趣き。
国の登録有形文化財にも指定されている雅俗山荘の館内は、温もりある木彫の内装が印象的。特に中央にある吹き抜けのロビーには大きなソファや工芸品が置かれ、名館の趣きがあります。ロビーからは食堂が続き、また2階へ昇る階段があります。2階には住んでいた部屋がそのまま再現されていて興味深いものがあります。
展示は2階を中心に展開されていて、小林一三氏が興した事業の数々や功績、また勲章や眼鏡などの小物も展示されています。さらに関係する著名人のパネル展示では、歴史の教科書に登場する錚々たる面々が並び、その活躍の壮大さが伝わってきます。とにかくすごいメンバーで、まさに偉人であることを実感します。モニターで流されている名言録も、サラリーマンの私には心に沁みるものばかりです。
貴重な展示も楽しい、白梅館。
もうひとつの展示館である、白梅館。こちらも見ごたえがあります。白梅館では小林一三氏が始めた阪急グループがその後どのように成長したのか、その系譜を学ぶことができます。阪急電鉄のこと、阪急ブレーブスのこと、宝塚歌劇団のこと、阪急百貨店のこと。どれも分かりやすいパネルとともに、大正や昭和時代の雑誌やポスターや切符など、当時の貴重な史料も展示されています。宝塚歌劇が好きな私などには、創刊から100年以上続く雑誌の第一号などには興奮してしまいました。
さらに庭園にある3つの茶室のうち茶室「即庵」「費隠」、また正門にあたる「長屋門」も国の登録有形文化財に指定されていたり、屋敷の中は見どころが詰まっています。
阪急グループの、原点が感じられる場所。
まさにタイムトリップをしたような小林一三記念館。この後、すぐ近くの逸翁美術館も訪問。この時の企画展では国の重要文化財である絵巻も展示されていて、その収蔵品の価値の高さも垣間見ることができました。
池田・五月山の麓は、まさに阪急グループの原点が感じられた場所でした。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 小林一三記念館 |
---|---|
所在地 | 大阪府池田市建石町7-17 |
問い合わせ先 | 072-751-3865 | 逸翁美術館/マグノリアホール/小林一三記念館 |
休業日 | 月曜日、年末年始 |
料金 | 一般・学生(高校生以上):300円、中学生以下:無料 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | http://www.hankyu-bunka.or.jp/kinenkan/ |
wikipedia | - |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1023473-d3875125-Reviews-Ichizo_Kobayashi_Memorial_Museum-Ikeda_Osaka_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202301 |
※掲載のデータは当ページ更新時点でのものです。以後の変更や詳細な情報につきましては、ご自身でお問い合わせの上ご確認いただきますよう、あらかじめご了承ください。