天上寺
てんじょうじ □兵庫県神戸市
摩耶山頂、霧に浮かぶ天上の寺院。
天上寺は正式名称を忉利天上寺といい、六甲山地の一部である摩耶山の頂上付近にある古刹です。創建は646年と伝わり、孝徳天皇の勅願でインドの高僧法道仙人によって開創されました。花山天皇や正親町天皇、徳川家光など時代を超えて庇護を受け、最盛期には3000人もの僧を抱える大寺院だったといいます。しかし現在の天上寺はどちらかといえば少し控えめに、摩耶山で静かに参拝者を迎えています。
落ち着いた空気と、心が洗われるような静けさ。
私が天上寺を訪ねた日、六甲山地ではよくあることですが、境内のある摩耶山頂付近には深い霧が立ち込めていました。標高は700mほどあり、いわゆる山の天気に左右される場所なのです。しかし霧に包まれた寺は、神秘的な雰囲気に満ちて逆に美しくもあります。まさに霧に浮かぶような堂宇、湿った石段や潤いを感じる植物、また薄い絹を纏うような石像など、晴れている時には見られない風情があります。しっとりと落ち着いた空気も、心が洗われるような静けさを演出しているようです。
天上寺では、カエルがひとつの象徴的な存在。
天上寺へは車では奥摩耶ドライブウェイからアクセスします。駐車場に車を停めたら、そこが天上寺への西山門です。そこからは長い階段が始まります。これくらいはと簡単に考えてると、ちょっと辛くなるかもしれません。途中には天竺堂と呼ばれるお堂や石碑、また季節によれば花々や紅葉を楽しみながらゆっくりと登ります。登り切ったところに赤いよだれかけを召したカエルの石像、さらに小さな門を入ったところにもカエルの木像が出迎えてくれます。どうやら天上寺ではカエルがひとつの象徴的な存在のようです。
霧に包まれた、厳かな金堂と摩耶夫人堂。
天上寺の堂宇があるのは摩耶山頂付近に開けた平坦な台地状の土地。本堂であり最も大きな建物が金堂。本尊である十一面観音菩薩は高さが6cmという小ささで33年に1度開帳される黄金の秘仏で見られませんが、ほかに多数の仏像が祀られています。どれも彩色豊かな仏様で、堂内の装飾も賑やかで比較的新しい感じがします。大きな太鼓を鳴らしながらひとりの僧が般若心経を唱えておられ、厳粛な雰囲気に包まれています。金堂の隣には摩耶夫人堂があります。このお堂の本尊が仏母摩耶夫人尊像で、釈迦の母である摩耶夫人を本尊とするのは日本で唯一です。それが摩耶山の名前の由来でもあるのです。また女人守護の仏でもある摩耶夫人は、安産・子授け・子育ての守護として特に女性からの信仰を集めています。
絶景の眺望も楽しめる、天空の大舞台。
本堂の前には天空の大舞台と呼ばれる広場があり、この日は濃い霧のため見えませんでしたが、晴れていれば淡路島や明石海峡大橋を見晴らす眺望が楽しめます。空気が澄んだ日には小豆島など瀬戸内海に浮かぶ島々も眺められるのだとか。
その他にも金輪堂や鐘楼など見ごたえのある堂宇がありますが、天上寺の建物はどれも皆、その長い長い歴史から比べるとずいぶん新しい建築物に見えます。はじめ意外に感じていたのですが実はそれには理由があり、大変悲しい史実があったのです。
ある悲劇を経て、今の天上寺がある。
実は天上寺は元々、今よりも約1kmほど南の摩耶山中にありました。1976年に放火により全焼するという大変痛ましい悲劇があっりました。その場所での再建はあきらめ、現在地に移って再興されたのです。昔の境内には今も焼け残った仁王門や灯籠などがあるものの、かつての面影は既に失われているそうです。今では摩耶山史跡公園として管理されているようなので、折を見て訪ねてみたいと思います。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 天上寺 |
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所在地 | 兵庫県神戸市灘区摩耶山町2-12 |
問い合わせ先 | 078-861-2684 | 天上寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 有料駐車場 |
公式サイト | http://www.mayasan-tenjoji.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/忉利天上寺 |
食べログ | - |
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