比叡山延暦寺

ひえいざんえんりゃくじ　□滋賀県大津市

世界遺産として誇る、日本仏教の母山。

世界遺産、比叡山延暦寺。京都と滋賀にまたがる比叡山山中に約1,700ヘクタールにも及ぶ境内、130もの堂宇を構える大寺院です。1200年以上もの長大な歴史と、激動の史実。そして信仰とは何かを深く自問させる威厳に満ちた空気。何もかもが想像を超えるスケールで、訪れる者を魅力し続けてきた古刹。「日本仏教の母山」とも称される延暦寺を、長年の希望叶ってようやく訪ねることが出来ました。

大講堂で聞いた、延暦寺の真実。

最初に参拝した東塔エリアの「大講堂」で、延暦寺のスタッフの方から詳しく説明を受ける機会がありました。15分ほどの話を聞けば、思っていた以上に比叡山延暦寺が奥深いというか、壮大な寺院であるということに気付きました。今思えば、この時に聞けた話が元で延暦寺を正しく理解できたと感じます。ガイドブックだけでは、やはり分からないんだと実感しました。もし訪問されるなら、是非聞くことを強くおすすめします。

比叡山全体が、境内である延暦寺。

延暦寺には、どこかに延暦寺と書かれた建物や山門があるわけではありません。比叡山全体が境内であり、延暦寺なのです。また全部が一ヶ所に集まっているわけではなく、ある程度の固まりを作ったエリアごとに山の中に点在しているのです。総本堂である根本中堂を含む延暦寺の中枢「東塔」、最澄作の釈迦如来を納める釈迦堂を中心とした「西塔」、静寂の森に包まれた「横川」の、大きく3つのエリアに分かれます。それぞれは山中に離れているので、普通は車かバスで移動します。だからしっかり参拝しようとすれば、半日では到底足りません。聞けば最盛時には3000を超える堂宇があったそうです。しかし歴史上有名な織田信長による比叡山焼き討ちにより、一度は焼け野原に。その後現在に至るまでに130あまりの諸堂が再建されたのです。

延暦寺が、日本の仏教の源流。

比叡山延暦寺は、788年に天台宗開祖である最澄により建てられた草庵が起源です。麓の坂本に生まれ19歳にして比叡山に修行の場を求めた伝教大師は、その後唐で学んだのち帰国、天台宗を開きました。そして比叡山延暦寺は、弘法大師空海が開いた高野山金剛峯寺とともに、現代に至るまで日本仏教寺院の双璧として君臨し続けているのです。その間、延暦寺は歴史に名だたる高僧を輩出します。法然（浄土宗）、親鸞（浄土真宗）、栄西（臨済宗）、道元（曹洞宗）、日蓮（日蓮宗）などなど歴史の教科書で学んだそれぞれの宗の開祖が、皆この延暦寺で修行をしていたのです。それが「日本仏教の母山」と称される所以であり、日本の仏教の源流がまさにこの延暦寺にあるということなのです。大講堂には今までに延暦寺に関わってきた上記のような高僧の肖像が無数に掲げられています。特に功績のあった像は、その木像も。まさに名僧のオールスターといった面々に、延暦寺の底力を感じました。

三塔には、過去現在未来の役割がある。

東塔・西塔・横川の「三塔」と呼ばれる各エリアには、それぞれのページで述べたいと思いますが、大講堂での話で最も大切なことだと教えられたことがあります。それは東塔が「現在」、西塔が「過去」、横川が「未来」のことをお祈りする場所だということ。それぞれに役割があり、全てで拝むことが肝要だということ。おかげでその後は、言われた通りの気持ちで参拝することが出来ました。また聞いた話の中で他に興味深かったのは、高野山には墓があるが比叡山には墓がないということ。現在10年間の予定で修復中の根本中堂の落成が、予定より大幅に遅れているということ。信長の焼き討ちに唯一無傷で残った瑠璃堂のこと。有名な大原三千院も、延暦寺の門跡であること。なかなかお話上手な方だったこともあり大変面白く、無学な私には大変貴重な時間でした。

今も絶やされない、最澄の教えそのもの。

歴史的にも規模的にも、そして存在意義的にもあまりに壮大な巨大寺院、比叡山延暦寺。長い歴史を継ぐために「十二年籠山行」「千日回峰行」といった厳しい修行が現代でも続けられているそうです。東塔の根本中堂内に、伝教大師最澄が灯してから消えることなく燃え続けているという「不滅の法灯」があります。3つの灯籠の中で1200年絶やすことなく守られてきた火は、最澄の教えそのもの。全てを象徴しているようなその灯火を見つめて、紡がれて積み重なってゆく人間の精神の尊さを見たような気がしました。

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称	比叡山延暦寺
所在地	滋賀県大津市坂本本町4220
問い合わせ先	077-578-0001 ｜比叡山延暦寺総務部
休業日	年中無休
料金	共通券　大人￥1,000・中高生￥600・小学生￥300
駐車場	無料駐車場
公式サイト	https://www.hieizan.or.jp/
wikipedia	https://ja.wikipedia.org/wiki/延暦寺
食べログ	-
トリップアドバイザー	https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298202-d321090-Reviews-Hieizan_Enryaku_ji_Temple-Otsu_Shiga_Prefecture_Kinki.html
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