十輪院
じゅうりんいん □奈良県奈良市
ブルーノ・タウトが絶賛した、国宝の本堂。
十輪院はならまちのはずれにあるとても静かなお寺。元は世界遺産元興寺の一坊で、特に鎌倉時代以降は地蔵菩薩を中心として民間信仰を集めた寺院です。
特徴的なのは山門をくぐってすぐ正面にある国宝の本堂。鎌倉時代の住宅風仏堂で、華美な装飾など極力削ぎ落としたようなシンプルで潔い外観が印象的です。そして他の仏堂とちょっと違うと感じるのが、緩やかな勾配の広い屋根。あまり見かけない独特の形状で、日本を愛した著名なドイツ人建築家、ブルーノ・タウトも絶賛したという名建築です。伸びやかな広がりを感じさせる本堂は、境内の静寂をつかさどって佇んでいます。
国宝の本堂は寺院建築としては珍しい造りで、正面には1間分の縁側が設けてあり内陣とは蔀戸で区切られている。
国の重要文化財に指定されている「南門」。
本堂広縁には日が差し込み、開放的な雰囲気。
石仏龕と呼ばれる、必見の重要文化財。
また十輪院には石仏龕と呼ばれる必見の重要文化財があります。龕とは自然石を掘り出して作られた、仏像などを安置する厨子。十輪院のものは3mほどある花崗岩の堂々たる造りで、そこに本尊の地蔵菩薩が彫られ鎮座しています。左右に釈迦如来と弥勒菩薩という仏像界の両エースを控え、堂々と真ん中にお地蔵様というのも珍しい並びです。
実は十輪院から100mほどの場所に実家があり、幼い頃には夕方になると祖母に手を引かれ境内をよく散歩したものでした。境内には夏に立派な花を咲かせる蓮池があって、池の向こう側へ回るのが好きでした。池の周りには、子供にとっては背丈の高い垣根に囲まれた小径、ほの暗い雰囲気で、傍らに何かを暗示するように佇む地蔵がいて、子供心にどこか冒険心を扇られるような情景がお気に入りでした。
十輪院の本尊は石像の地蔵菩薩。「石仏龕」と呼ばれ国内では非常に珍しいもので、鎌倉時代の作と言われる。
本堂右手奥に建つ「御影堂」。
ささやかな池と庭園もある。
記憶の隙間に入り込んでくる、懐かしい風景。
それから長い年月がたち、20年ぶりくらいに、蓮池の向こう側に遊びに行ってみました。そこに置かれているものは記憶と違っていたかもしれないですが、明るさとか温度とか匂い、それはまだあの頃の思い出とまったく変わっていませんでした。目の前にあるのは、記憶の隙間に入り込んでくる懐かしい風景。なんだかとても嬉しい瞬間でした。
帰り際に挨拶を交した住職は、白い玉砂利が敷かれた境内を、熊手で綺麗に均していました。そう言えば門の下に座り、みるみるうちに美しいマーブル模様が玉砂利に描かれていくのを、興味深く眺めていたことも思い出しました。お気に入りだった場所が今も変わらない姿で在り続けていることは、なにかとても心強い気持ちにさせてくれました。
久々に訪れて感じたのは、記憶の隙間に入り込んでくる懐かしい風景。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 十輪院 |
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所在地 | 奈良県奈良市十輪院町27 |
問い合わせ先 | 0742-26-6635 | 十輪院 |
休業日 | 月曜日、1月27日~28日、8月16日~31日、12月27日~1月5日 |
料金 | 拝観400円 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | http://www.jurin-in.com/ |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/十輪院 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298198-d7225278-Reviews-Jurinin_Temple-Nara_Nara_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202401 |
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