元興寺
がんごうじ □奈良県奈良市
味わいのある佇まいは、「日本一静かな世界遺産」。
風情あるならまちの一角に古民家と同化するように佇んでいる元興寺は、718年にこの地に建てられました。元は明日香にあった日本最古の寺といわれる法興寺(飛鳥寺)が平城遷都によって移築されたもので、以来南都七大寺のひとつとして権勢を誇りました。実は元興寺から歩いて5分ほどの、私が生まれ育った実家もかつてはこの元興寺の境内だったのです。
かつては東大寺や興福寺に匹敵する大寺院だった元興寺。写真の本堂のほか、禅室、五十小塔が国宝に指定されている。
参拝者の入口となる東門。
こちらは近くにある「元興寺塔跡」にある扁額。
質素であることこそ、本物の古刹という威厳。
でも平安時代以降は徐々に衰退し、寺領も極端に狭くなり、明治期には床も抜けるほど傷んでしまい、「化け物が出る」寺とまで言われたそうです。ただ奈良時代から残る瓦がまだ使われていたり、古刹としてのポテンシャルは見事にまで保たれています。やがて復興され、その文化的価値が認められ、元興寺は1998年、世界遺産に登録されました。
東大寺に豪壮さを、春日大社に華麗さを感じるとしたら、元興寺から感じるのは質素さでしょうか。正門となる東門をくぐると正面に見える極楽坊本堂はそれほど大きくないですし、これという目立つ装飾もありません。境内を見回してみても、どことなく漂わせるもの悲しささえあります。建物に使われている木材や瓦も、どこかかつて廃屋であったような傷みがあります。
浮図田(ふとでん)と呼ばれる、境内にある石塔石仏群。随所に古刹と感じられる景観がある。
味わいのある佇まいは、これぞ本物の古刹。
ただ、それがこの元興寺の美しいところなんです。味わいのある佇まいは、これぞ本物の古刹という威厳があり、重みがあります。それを一層引き立たせているのが、境内の静けさ。1300年もの間、この静寂に守られてきたんだと思えます。どこかの雑誌で、「日本一静かな世界遺産」とコピーが打たれていましたが、まさにその形容がピッタリ。かつて東大寺と並び称された大きな寺院は、今はひっそりと町の中に隠れるようにして在り続けています。
本堂(極楽坊本堂)と禅室の屋根には、日本最古とも言われる飛鳥時代の古瓦が使われている。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 元興寺 |
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所在地 | 奈良県奈良市中院町11 |
問い合わせ先 | 0742-23-1377 | 元興寺 |
休業日 | 年中無休 |
料金 | 大人400円、中・高校300円、小学生100円 |
駐車場 | なし |
公式サイト | http://www.gangoji.or.jp/ |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/元興寺 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298198-d1385965-Reviews-Gangoji_Temple-Nara_Nara_Prefecture_Kinki.html |
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