適塾
てきじゅく □大阪府大阪市





日本近代化の礎、緒方洪庵の蘭塾。
江戸時代、西洋の文化や学識を研究して取り入れようとする学問を「蘭学」と呼びました。当時は鎖国をしていたので、西洋の書物はオランダを通じて国内に入ったためそう呼ばれていたのです。8代将軍吉宗の時代から活発となり、青木昆陽、野呂元丈といった学者が蘭学の基礎を築きます。その後江戸時代後期になるとその発展は目覚ましく、医学や化学、天文学など多様な学問が日本にもたらされました。それぞれの分野で傑出した蘭学者が活躍し、近代日本への架け橋が着実に作られていたのです。

大阪を代表するオフィス街で聳え立つ高層ビルに囲まれて佇む「適塾」。築200年を超える建物で、国の重要文化財に指定されている。
日本史を動かした、多士済々が学んだ。
医学の分野で活躍した蘭学者のひとりが、緒方洪庵でした。大坂、江戸、長崎で蘭学を学んだのち、大坂に戻り自ら医者として活躍します。特に天然痘の治療法に貢献した彼は、のちに日本近代医学の祖とも呼ばれるようになります。その他方で、後進の育成のために商人の町・船場に開いたのが今回ご紹介する適塾です。時は幕末の1838年。それから30年の間に、適塾の門をくぐった門下生は1,000人を超えるとも言われます。適塾からは慶應義塾大学の創設者である福沢諭吉など、日本史を動かした多士済々が世に出てゆきました。

のちに「日本近代医学の祖」とも呼ばれるようになる緒方洪庵が、幕末1838年に医者の育成のために適塾を開いた。


緒方洪庵に纏わる史料も展示されている。


蘭学により日本の発展の礎が築かれた。
時が止まったまま、街に佇んでいる。
適塾は大阪屈指のオフィス街、淀屋橋エリアにあります。周囲にはオフィスビルが林立する中、町家を利用した適塾は時が止まったまま佇んでいます。築200年以上の建物で、日本唯一の蘭学塾の遺構という歴史的価値から、国の重要文化財に指定されています。木造2階建て、中庭を持ち奥行きの長い典型的な町家です。1945年には大阪の大部分が消失する空襲がありましたが、奇跡的に難を逃れ現代に受け継がれたものです。

目覚ましい開発が続く淀屋橋〜北浜エリアだが、適塾だけは時が止まったまま佇んでいる。


書斎として使われていた和室。


中庭の設えも風流なもの。
日本近代化の、鼓動とエネルギー。
内部は全て見学できます。資料の一部を除いて写真撮影も可能で、各部屋を隈なく見て回ります。どの部屋にも貴重な資料が展示してあり、緒方洪庵の功績や塾生の活躍など、日本近代化の鼓動とエネルギーがひしひしと感じられます。
最も印象的だったのは、2階の最も奥の「塾生大部屋」。ここは住み込みの塾生たちが寝泊まりした部屋。勉学に励みながらも血気盛んな若者たち、部屋の柱にある傷は、羽目を外した彼らが付けた刀傷なのだそうです。

建物内部は全て見学できる。どの部屋にも貴重な資料が展示してあり、日本近代化の鼓動とエネルギーがひしひしと感じられる。


住み込みの塾生が寝泊まりしたという「塾生大部屋」。


羽目を外した学生が付けたという刀傷が残る柱。
緒方洪庵の精神は、今も脈々と受け継がれる。
適塾は明治元年に幕を閉じましたが、その後も医学会の象徴として時代を駆け抜けます。適塾はその後病院、医科大学となり、やがて大阪帝国大学、今の大阪大学へと発展を遂げたのです。
建物の両隣は公園が整備され、緒方洪庵像が設置されています。「人のため、世のため、道のため」という緒方洪庵の精神は今も脈々と受け継がれ、日本の発展を支え続けているのです。

建物東側の広場に設置されている緒方洪庵のブロンズ像。福沢諭吉など日本史を動かした多士済々が彼の元を巣立っていった。


東側の広場は公園として整備されている。


1945年大阪大空襲では奇跡的に焼失を免れた。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 適塾 |
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所在地 | 大阪府大阪市中央区北浜3-3-8 |
問い合わせ先 | 06-6231-1970 | 大阪大学 適塾記念センター |
休業日 | 月曜日、国民の祝日の翌日、年末年始 |
料金 | 一般 270円 (140円)高校・大学生等 140円(80円)中学生以下 無料 |
駐車場 | |
公式サイト | https://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/tekijuku |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/適塾 |
食べログ | ー |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g14127623-d2315979-Reviews-Tekijuku-Chuo_Osaka_Osaka_Prefecture_Kinki.html |
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