東光院 萩の寺
とうこういんはぎのてら □大阪府豊中市






萩まつりで有名な、町中の古刹。
東光院萩の寺は、豊中市の住宅街に埋もれるように所在するお寺です。毎年秋には境内に萩が美しく咲き、9月には「萩まつり」が催されることでも有名です。新西国三十三所にも選ばれていて、その巡礼の参拝者も。そして私もそのひとりです。
奈良時代の735年に行基により創建された古刹ですが、境内や諸堂はそれほど古い感じはありません。でもそこには、東光院が辿った激動の歴史が刻み込まれていることを知ったのでした。

「東光院 萩の寺」は735年に行基により創建された古刹。しかし激動の歴史を経てきた寺でもある。
諸堂が軒を並べ、石塔や石仏が随所に。
東光院萩の寺は阪急の曽根駅近く、入り組んだ細い道が無数にある住宅地にあります。川のない橋があり、大きなイチョウの木が一本。そこが境内への入口です。江戸時代中期の建築だという山門で、竹筒に拝観料を納めて境内に入ります。
それほど広くはない境内には諸堂が軒を並べて建ち、石塔や石仏が随所に。また庭園を中心に植栽も豊富で、境内はさまざまな見どころがぎゅっと詰まった様相です。

江戸時代中期の建築だという山門、横にある竹筒に拝観料を納めて境内に入る。境内は広くないが、外から隔絶された静寂がある。


「薬医門」と呼ばれる山門に掛けられた扁額。


北大路魯山人が命名の庭園「萩露園」。
千体仏地蔵を祀る、あごなし地蔵堂。
入ってすぐ左手にある、東照閣仏舎利殿。通称、あごなし地蔵堂。もともと今の造幣局付近にあった川崎東照宮が廃止される時に、その本地堂「瑠璃殿」が移築されたものです。1665年建立の古いお堂で、子供の魂が宿るという千体仏地蔵が祀られています。
あごなし地蔵堂の向かいには、北大路魯山人が命名したという庭園「萩露園」があります。萩が美しい庭園は正岡子規の句にも詠まれていて、境内にはその句碑が建てられています。

1665年建立の「東照閣仏舎利殿」。「あごなし地蔵堂」とも呼ばれ、子供の魂が宿るという千体仏地蔵が祀られている。


境内の外に聳え立つ立派なイチョウの木。


スリランカとの縁を示す「吉祥林永代塔」。
「こより観音」が安置される、再建された本堂。
境内の1番奥に本堂があります。阪神淡路大震災で損壊したため、1999年に再建されました。本堂には川崎東照宮観音堂の本尊であった十一面観音立像も安置されていて、こちらは「こより観音」と呼ばれ、お経が書かれた紙をこよりにしたもので作った法衣を召されていたそうです。
また大阪市立美術館に寄託されている釈迦如来坐像は、平安時代の作で国の重要文化財に指定されている大変貴重な仏像です。

1999年に再建された新しい本堂。本尊の薬師如来坐像を安置する。また「新西国三十三所」にも選ばれている。


お砂踏み霊場とも言われる「三十三観音堂」。


萩の群生の上に突き出すユニークな剪定。
河原から始まり、町の核となった。
さてそんな東光院萩の寺、1300年の歴史は激動のものでもありました。寺の興りは奈良時代。ここから少し離れた、今の中津あたりの河原は「浜の墓」と呼ばれ、死者を捨てる場だったそうです。ここで行基は死者を弔い火葬すりことを伝授し、日本で初めて民間人による火葬場となりました。そしてその場所に薬師如来像を安置して萩を植えたのが東光院萩の寺のはじまりとされます。
江戸時代には大変隆盛し、「南の四天王寺、北の東光院」とも言われたそうです。そして大正時代の1914年、東光院萩の寺はそれまでの中津から現在地に移ってきます。阪急電車の宝塚線が開通して沿線が住宅地として開発される中、町の核とするべく創業者の小林一三氏の依頼だったそうです。果たして東光院萩の寺はその通り、町の発展を見守ってきたのです。

江戸時代には今の中津にあり大変隆盛し、「南の四天王寺、北の東光院」とも言われた。写真は「道了大権現堂」。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 東光院 萩の寺 |
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所在地 | 大阪府豊中市南桜塚1丁目12-7 |
問い合わせ先 | 06-6852-3002 | 東光院 萩の寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://www.haginotera.or.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/東光院_(豊中市) |
食べログ | ー |
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