宮良殿内
みやらどぅんち □沖縄県石垣市
時を超えて今に残る、貴重な歴史遺産。
初見では全く読めないと思いますが、「みやらどぅんち」と読みます。さらに八重山地方の方言では「めーらどぅぬず」と読むのだそう。「どぅんち」もしくは「どぅぬず」とは昔の行政長の屋敷のことで、つまり宮良地区の為政者の私邸だったものです。だから当時としてはその地位に相応しい建築物であり、現代にその様式を伝える貴重な歴史遺産でもあるのです。宮良殿内は1812年、首里の氏族の屋敷に倣って建てられたと言われます。敷地は462坪もあり、建物は国の重要文化財、庭は国の名勝に指定されていて文化的な価値が高く評価されているのです。
珊瑚石を積み上げた、沖縄らしい石垣。
宮良殿内は石垣島の市街地、住宅が並ぶエリアにひっそりと佇んでいます。周囲の家々とは違って、この辺りで採れた珊瑚石を積み上げた沖縄らしい石垣で囲まれています。門がありますが、その向こうにもうひとつ、門のある壁があります。これは沖縄の伝統的な造りで、その代わりに敷地に入ったすぐに中を見せないようにする衝立のような壁。これは「ヒンプン」と呼び、目隠しと風通しを考えての様式だそうです。また魔除けの役割も果たしているそうです。そのヒンプンを横に回って奥に進みます。
止まった時間の中に佇む、宮良殿内の邸宅。
敷地には誰もおらず、ひっそりとしています。石垣の内側に沿うように亜熱帯の植物が生い茂り、先ほどまで降っていた雨に葉を濡らしてしっとりとした空気を作り出しています。そんな中に宮良殿内の邸宅が静かに佇んでいます。木造の平屋で、琉球の赤瓦を葺いた立派な屋根が印象的です。正面のほとんどは縁側になっています。築200年を超えるとあって、柱や床の木はとても古びた様子をしています。また何もかもが止まった時間にいるように感じられて、まるでタイムスリップしたみたいな感覚になります。家の中に入ることはできませんが、雨戸のようなものもなく部屋の中が見えます。でも誰かここで暮らしているのかなと思えるほど、部屋の中は生活感のある家財ばかりでした。
人工の自然が、本当の自然に戻る瞬間。
家の縁側に受付がありましたが誰もおらず、声をかけてしばらく待ちましたが反応がありません。仕方なく入場料を机の上に置いて、敷地を奥に進みます。
建物の東側は、枯山水の庭園になっています。これが国の名勝に指定されているものなのですが想像以上に小さく、そしてほとんど手入れされていません。築山や石橋がかろうじて分かるのですが、劣化しやすい珊瑚石が使われているので風化していたり、また南国の植物が自由自在に育っていて人工物を覆っています。また石もつるんとはしてなくて、その陰影は逆に迫力さえ感じます。どこか庭園の役割を終えようとしているほどの光景ですが、でも逆にそれが美しく見えてきます。人間が作った偽りの自然が、本当の自然に戻ろうとしている、そんな瞬間を見ているような気分なのです。桃林寺の向かいに仲本氏庭園という琉球風の庭園がありましたが、そこもまさに同じような雰囲気だったのを思い出しました。
全てが想像を超える、独特の景観。
宮良殿内は繁華街からも近く、歩いてアクセスさやすい場所にあります。逆に駐車場がないので、レンタカーの場合は石垣市公設市場に停めてショッピングのついでに歩いて向かうのが得策。でも全てが想像を超える独特の景観なので、必ず訪れた方がいいと思います。石垣島の他のどこにもない体験が、宮良殿内にはありました。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 宮良殿内 |
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所在地 | 沖縄県石垣市大川178 |
問い合わせ先 | 0980-83-5498 | 宮良殿内 |
休業日 | 火曜日/年末年始 |
料金 | 大人200円、生徒(小・中・高)150円 |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/宮良殿内 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298223-d1373494-Reviews-Miyara_Dunchi-Ishigaki_Okinawa_Prefecture.html |
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