ねじりまんぽ
ねじりまんぽ □京都府京都市
不思議な名前の、不思議なトンネル。
ずいぶん以前に、南禅寺の紅葉を見に訪れた時にも立ち寄った小さなトンネル。その時には、このトンネルに「ねじりまんぽ」なんて風変わりな名前がついていることは知りませんでした。その特徴も覚えていなかったので、当時はなんとなく訪れただけなのかもしれません。この度あらためて蹴上インクラインを訪ねた際、もう一度この一風変わったトンネルを歩いてみることにしました。
「ねじり」が加わる、その理由とは。
「まんぽ」というのは方言で、特に盛り土で敷設された鉄道の下をくぐるような小さなトンネルのことを指すそうです。これに「ねじり」が加わって「ねじりまんぽ」となります。なぜ「ねじり」が加わるのかというと、その理由こそがこのトンネルの最大の特徴です。
ねじりまんぽの真上は蹴上インクラインです。琵琶湖疏水の代表的な遺産施設のひとつで、運河の舟便が上れない急勾配で一時的に舟を水から揚げて、台車に乗せて引き上げる設備です。舟と巨大な鉄の塊である台車という重いものが往来することが一つ目の条件。またインクラインに対してトンネルが斜めに貫通する際は、重みの伝わり方が部分的に集中することが二つ目の条件。それらのために、このトンネルには普通以上の強度が必要だったのです。
螺旋構造みないな、不思議な空間。
それを解決するのが「ねじり」です。ねじりまんぽはレンガ造りのトンネルです。レンガを斜めに積み上げていくことで、耐久力が増すのだそう。出来るだけ受ける力を分散させるような角度で計算されたのだと思います。もしくは藁をねじって強い縄にするのと同じようなイメージなのでしょうか。詳しくは分かりませんが。いずれにせよ、そのことでねりしまんぽには空間的に不思議な感じが演出されています。
トンネル内は下部は地面と並行に積まれていますが、中程あたりからアーチにかけては見事に斜めにレンガが積まれています。「ねじり」という表現がピッタリ。螺旋構造の真ん中に入ってしまったかのような感覚、遠近感が少し混乱します。端から端までねじれています。また下部をよく見ると装飾的にレンガを積み上げた意匠になっており、単に機能だけではなくデザイン的なところにもこだわって建造されたのが見てとれます。
この場所にある、特別な意味。
ねじりまんぽが竣工したのは1888年。もう120年以上前のお話です。そして当然のことながら壮大な事業であった琵琶湖疏水の工事の一部でした。それを示すようにねじりまんぽの入口の上には、疏水の途中にある水を通すトンネルと同じような扁額が付けられているという共通点があります。三条通側の扁額には『雄観奇想』、南禅寺側には『陽気発処』と書かれています。これはどちらも建設時の京都府知事の北垣国道が揮毫したもので、彼こそが琵琶湖疏水を提唱した人物なのです。琵琶湖疏水のトンネルには、山縣有朋や伊藤博文など錚々たる偉人が揮毫した扁額が見られますが、そもそもの提唱者の扁額がこの場所にあることには何か特別な思いがあるのではないか。『雄観奇想』が示す「見事な眺めと優れた考え」が、この蹴上周辺に結実しているような気がしました。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | ねじりまんぽ |
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所在地 | 京都府京都市東山区東小物座町 |
問い合わせ先 | 075-672-7810 | 京都市上下水道局 総務部 総務課 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | https://biwakososui.city.kyoto.lg.jp/place/detail/24 |
wikipedia | - |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d8791769-Reviews-Nejirimampo_Keage_Tunnel-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html |
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