観音正寺
かんのんしょうじ □滋賀県近江八幡市
悲しい過去から蘇った、湖東を見晴らす寺院。
観音正寺は安土城跡の北西、標高433mの繖山(きぬがさやま)の山頂付近にある古刹です。創建は605年、開基は聖徳太子と伝わる由緒。また西国三十三所の32番目の札所でもあり、1年を通して参拝する人々の多いお寺です。境内からは琵琶湖をはじめ周囲を見晴らす眺望が楽しめますし、同じ山のすぐ近くには歴史上稀有な山城と言われた観音寺城跡もあり、さまざまな視点から味わい深いお寺でもあります。長い梅雨が明けたばかりの真夏日、一斉に鳴き出した蝉の声響く観音正寺を訪ねました。
途中の展望を見ながら、境内に到着。
山の上にあるだけあって、アクセスはやや大変な道のりです。表参道と裏参道があり、簡単に言えば急峻な石段を一気に上るのが表参道、車である程度の標高まで行ってフラットで長めの距離を歩くのが裏参道です。どちらかと言えば裏参道の方がおススメだと思います。今回はその裏参道ルート。とはいえやはり結構距離がありますので、この真夏の暑さに汗が吹き出します。途中の開けた展望を見ながら、なんとか境内に到着。
観音正寺には山門がなく、一対の仁王像がその役目を果たしています。境内は山の形状に合わせるように細長く、一番奥に本堂が構えています。歴史ある寺にしてはかなり新しい造りで、まだ色褪せない木の色が新鮮です。でもこの真新しく美しい本堂には、悲しみの過去があるのです。
真新しい本堂の、悲しみの理由とは。
1993年、観音正寺は失火のため大きな火災に見舞われました。本堂もそうですが、安置されていた重要文化財の本尊、平安後期の毘沙門天像など仏像9体もすべて焼失してしまったそうです。まさかの悲劇に、哀しみにくれた観音正寺。しかしそこから檀家や地元の有志を中心に懸命の復興がなされ、ようやくの思いで2004年に再建されたのが現在の本堂なのです。新たなる本尊として、インドの白檀で彫られた巨大な千手観音坐像も安置され、観音正寺は本格的に蘇りました。
近江の夏のパナラマを、乾いた風が吹き抜ける。
本堂の向かって右側には蓮が美しい池があり、その向こうにはかなり見た目が印象的な石積みがあります。高さは10mほどあるでしょうか。不揃いな巨石が無造作に積み上がり、素朴だが存在感を放つ石の壁です。自然のものにも見えますし、人の手によるものにも見えます。とにかく、一瞬で目を奪われてしまう壮観です。
本堂の脇にベンチがあり、ひと休みします。境内からは近江の風景がジオラマのように見下ろせます。田畑を中心とした緑が多く、小高い山々が連なる遠景。その中を一直線に横切る新幹線。この山の上から見ると、新幹線もゆっくり走っているように見えます。平和な昼下がり、麓より少し乾いた風が心地よい、観音正寺の夏の日でした。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 観音正寺 |
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所在地 | 滋賀県近江八幡市安土町石寺2番地 |
問い合わせ先 | 0748-46-2549 | 観音正寺 |
休業日 | - |
料金 | 大人 500円、学生・高校生 300円 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/観音正寺 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1023564-d5814074-Reviews-Kannonshoji_Temple-Omihachiman_Shiga_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202107 |
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