友ヶ島
ともがしま □和歌山県和歌山市
自然が作りだす、遺跡が生まれる過程を目にする。
島に降り立つと、一瞬にして特別な場所にたどり着いたのが分かります。潮と緑の匂い、それは島特有の香り。初夏の爽やかな風が桟橋を吹いていて、静かな波の音と、季節に鳴き出した蝉の声が出迎えてくれます。想像はしていたけど、まず感じたことは、期待を大きく上まわる別世界感。もっと早く訪ねていたら良かったと、早くもそう思い知らされました。
桟橋からはすぐに散策道が始まります。右へ行くか、左へ行くか。港に少し集まる松林の木陰で、しばし思案してから出発します。そうするとすぐに人工的な物事が少なくなり、ある種、流れ着いた無人島を探検するような気分に。まずこれがひとつ、友ヶ島の魅力です。
友ヶ島は4つの島の総称。最も大きな「沖ノ島」に船で渡り散策するのが定番のコース。
友ヶ島へは「友ヶ島汽船」で渡る。
沖ノ島の桟橋。この桟橋が友ヶ島散策の起点となる。
今は無人島だが、元民家らしき建物も。
島の西側にある美しい浜。
紀伊水道に浮かぶ、静かな無人島。
友ヶ島は和歌山の最西端、加太の町から船で渡る、紀伊水道に浮かぶ無人島です。無人島といっても人が定住していないだけで、昼間は僕たちのような観光客、または探検気取りの人々が多く訪れています。4つの島の総称が友ヶ島で、メインなのが沖ノ島ですが、頭の中ではこの島が友ヶ島になってしまいます。
島にはいくつかの散策ルートが設けられていて、今回は比較的短いルートを選択。名所探訪コースという、3.3kmほどのルートです。
島の中央にある「タカノス山展望台」からの眺め。手前に「友ヶ島灯台」、紀淡海峡を挟んで淡路島が見える。
島の西端には子午線が走っている。
浜辺には降りることもできる。
島の西端に立つ「友ヶ島灯台」。
明治5年に初点灯した歴史ある灯台。
島全体が、戦争遺跡であるということ。
基本的には島を半周するルートなので、アップダウンが多いです。歩きやすい靴でないと、少しきついかも。でも素晴らしいのは、その道すがらずっと、美しい景色が続いていることです。太陽をキラキラと跳ね返す海原や、その向こうに霞む淡路島。見上げれば若葉をたっぷり纏った緑のトンネル。この島は暖かく、照葉樹林のパラダイスなのです。
そして友ヶ島を友ヶ島たらしめているのが、この島全体が戦争遺跡であるということ。明治時代、大阪湾へ侵入する外国艦隊の防御のため砲台が設置されたのを皮切りに、第二次世界大戦まで要塞として使われていたのです。基本的には敵対国から国を守る施設のため、当時の日本地図には友ヶ島は載っていなかったんだとか。
かつて友ヶ島は島全体が要塞だった。戦争遺跡として現在でも、弾薬庫や砲台跡が昔のまま残されている。
「第2砲台跡」の一部は崩れ落ちている。
「第2砲台跡」近くの山から大阪湾を望む。
上から見下ろした「第2砲台跡」。
古いトンネルもそのまま残っている。
自然と融合し、不思議な魅力を持った。
戦後はそれらの軍事施設は使われなくなり、武器などは撤去されたものの、砲台や弾薬庫、観測所などの建物は残されました。半ば打ち捨てられたこれらの建物は、その後70年の月日と風雨が時を刻み込み、元々この島に息づいていた自然と融合し、今のような不思議な魅力を持つに至ったのです。
さて、今回の記事では、友ヶ島で大きな魅力を感じた「第2砲台跡」「第3砲台跡」「友ヶ島灯台」については割愛し、別の記事でご紹介しようと思います。いずれも、この別世界で出会ったかなり印象的な建物だったのです。この島がラピュタのようだと言われるに値する、とても素晴らしい体験でした。
風雨にさらされ朽ちて、また植物に飲み込まれていく。その風景は「ラピュタ」のようだと言われるに値する。
最も大規模な「第3砲台跡」の弾薬庫。
坑道のようなトンネルもあった。
回転する砲座があった場所。
ここにもまたラピュタの世界。
「トモガシカ」と呼ばれる、島の鹿。
また友ヶ島を散策していると、たくさんの動物達にも出会いました。木の上を跳ね回るリスや、清々しい空を舞う鳥たち、名前も分からないたくさんの虫たち、そして大きな雄鹿。散策マップには「トモガシカ」と紹介されている、友ヶ島のキャラクター的な存在の鹿です。奈良や宮島の鹿みたいに人には慣れていない、野生の鹿なんですが、ちらっと目にすることが出来ました。
港近くで出会ったのは、「トモガシカ」と紹介されている友ヶ島のキャラクター的な存在の鹿たち。
友ヶ島には詩的な情景がいたるところにある。
このトンネルの先にはどんな世界が待つのか。
帰りの便を、桟橋を眺めながら待つ。
友ヶ島を出航した時はすでに日が暮れかけていた。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 友ヶ島 |
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所在地 | 和歌山県和歌山市加太 |
問い合わせ先 | 073-459-0314 | 友ヶ島案内センター |
休業日 | - |
料金 | 友ヶ島汽船:大人往復2,000円、小人往復1,000円 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/友ヶ島 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298204-d1310351-Reviews-Tomogashima_Island-Wakayama_Wakayama_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 201605 |
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