善峯寺
よしみねでら □京都府京都市
美しき光景が、境内を埋め尽くす。
ふと思い立って始めた西国三十三所巡礼。その一環で、また季節的にも境内の桜が見頃ということで4月初旬に善峯寺を訪ねました。
途中、筍で有名な大原野を車で走ると、沿道にはたくさんの直売所が設けられ、山積みにされた大きな筍。そう、まさに季節は新しい春を迎えているのです。なんだか爽やかな気分で善峯寺への坂道を登りました。
善峯寺は1029年に創建された古刹で、西国三十三所第20番札所です。約3万坪の境内には見どころが本当にたくさんあります。どれから紹介すればよいか迷ってしまうくらい。
善峯寺は1029年に創建された古刹。境内入口にある築300年を超える楼門は壮大。
本堂の「観音堂」から楼門を望む。
西国三十三所第20番の御朱印。
境内は山腹全体に、立体的に広がる。
山門をくぐるとまず目に入るのが、立派な本堂。応仁の乱に巻き込まれて伽藍が消失したのち、江戸時代の1692年に再建されたものです。とはいえ300年以上の時を経た建物らしく、その存在に刻まれた時間が手に取るように感じられます。その横にある納札所で朱印帳に御朱印と記帳をしてもらいます。
善峯寺の境内は山腹全体に立体的に広がっています。そして麓からは全く分からないのですが、たくさんの堂宇が緑に包まれて建てられています。中でも特に見応えのあるものを挙げると、まずは多宝塔。これは善峯寺の中では最古の建築で、江戸時代の初期に建てられたもの。そして多宝塔の隣に建つのが経堂。2つの建物をつなぐように生えているのが、有名な遊龍の松です。
江戸時代の1692年に再建された「観音堂」。善峯寺の本堂で、本尊千手観音像を安置する。
観音堂は桂昌院の寄進により再建された。
“厄除けの鐘”と言われる「鐘楼堂」。
境内には椿が美しい花を咲かせていた。
境内の中央付近にある「経堂」と「桂昌院しだれ桜」。
樹齢約600年、天然記念物の遊龍の松。
気がつかなければ長い垣根が続いているように見えるのですが、これがなんと一本の松の木なのです。天然記念物にも指定されている遊龍の松は、樹齢約600年の大変な古木。枝ぶりは横に広がりを見せる五葉松と呼ばれる種類で、その長さは約40mに近いそうです。以前は50mもあったのだとか。そしてさらに遊龍の松の横には、樹齢300年と言われる立派な枝垂れ桜があります。
この時点で既に善峯寺の素晴らしさを満喫しているのですが、境内はまだまだ続きがあります。実は一周すると30分ほどかかる回遊式の順路が設定されていて、まだほんの5分ほどしか歩いていないのです。
国の天然記念物に指定されている「遊龍の松」。全長約40m、まるで垣根のごとく地を這うように伸びる。
遊龍の松と隣り合う「護摩堂」の屋根。
その向こうには京都盆地の眺望も見える。
遊龍の松は樹齢600年以上と言われる。
「白山桜あじさい苑」を望める懸造の「幸福地蔵堂」。
傾斜地一帯に咲き誇る、満開の桜。
はたして次は京都盆地を思う存分見渡す眺望が待っています。善峯寺は標高が300mほどあり、盆地を取り囲む山々の西南端から古都を見下ろすわけです。手前に広がるのどかな乙訓エリアの向こうに、1200年の歴史を積み重ねた古の都をじっくりと眺められるのです。
またここでしっかりと足を止められた後、次に待つのは、少し谷になった傾斜地一帯に咲き誇る満開の桜。斜面に沿って段々に姿を見せる桜、それはまさに一目千本と呼ばれる吉野山の桜を模したようで、実に美しい光景です。櫓のように宙に突き出た小さなお堂があり、見下ろす桜は一瞥のもとに。雛人形を見るように一本一本の桜がよく見えます。または谷の底から桜の斜面を見上げると、その先にある澄んだ青空とのコントラストが絵も言われないほどの美しさ。見る人に感動を与えるのは桜たち自身、そんな素晴らしい景観でした。
「白山桜あじさい苑」では谷になった傾斜地一帯に桜やアジサイが咲き誇る。この時は春で、桜が満開に。
白山桜あじさい苑には散策路も設けられている。
散策路から桜と春空を楽しむ。
下から吹き上がってきた、花吹雪。
しばらく桜に見惚れたあとは、さらに境内の上を目指します。すると次の釈迦堂の前にはまたもや巨大な枝垂れ桜。釈迦堂を借景に、はたまた大きな青空を借景に映える姿もさることながら、桜自身の見事なまでの満開ぶりには感銘を受けます。
さらに上にある薬師堂を目指している途中、またもや京都市内をはるばる見渡せる休憩所があったので、しばし休息。するとそこで思いがけない光景。山の麓から斜面を駆け上がってきた爽やかな風に乗って、白い雪のようなものがたくさん舞い上がってくるのです。よく見ると、それは紛れもなく善峯寺に咲く桜の花びら。下から吹き上がってくる花吹雪なんて、それまで人生で一度も見たことがない光景でした。風も気持ちいいし、うっとりとしてしまう春のスペクタクル。
善峯寺は標高が300mほどあり、京都盆地を思う存分見渡せる眺望が待っている。
「釈迦堂」あたりからの眺望。枝垂れ桜も美しい。
最も標高が高い場所付近にある「けいしょう殿」。
秋の紅葉もまた、有名なお寺。
最上部にある薬師堂に詣って、本堂まで戻ってきたのは結局1時間半後。歩き出すたびに出会う佳景に、時間を忘れて散策してしまいました。
想像以上に素晴らしい景観に出会うことができた善峯寺。秋の紅葉もまた有名なお寺なので、次は是非また秋に、思いがけない絶景を見に行きたいと思います。
境内をゆっくり散策すれば2時間ほど。季節ごとの風景も見ごたえがあり、想像以上に素晴らしい景観に出会える。
「釈迦堂」横の立派な枝垂れ桜。
「薬師堂」に寄り添う枝垂れ桜。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 善峯寺 |
---|---|
所在地 | 京都府京都市西京区大原野小塩町1372 |
問い合わせ先 | 075-331-0020 | 善峯寺 |
休業日 | 無休 |
料金 | 大人:500円、高校生:300円、小・中学生:200円 |
駐車場 | 有料駐車場 |
公式サイト | http://www.yoshiminedera.com/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/善峯寺 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d1386184-Reviews-Yoshimine_dera-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 201804 |
※掲載のデータは当ページ更新時点でのものです。以後の変更や詳細な情報につきましては、ご自身でお問い合わせの上ご確認いただきますよう、あらかじめご了承ください。