黒潮本陣

久礼湾を望む展望露天風呂と、海水を引き込んだ汐湯。

情緒あふれる港町の風景と人々の素朴な暮らしが生んだ町並みが、近年観光資源として注目されている町・土佐久礼。その町のはずれの高台に、1996年にオープンした温泉が黒潮本陣です。同じ敷地内にある黒潮工房では藁焼き鰹のタタキが評判で、黒潮本陣と合わせて楽しむ観光客で賑わっています。
白壁に瓦葺きの立派な建物には、自慢の展望露天風呂を含めて温泉や土産物コーナー、宴会場などがあり、全室オーシャンビューという部屋に宿泊することもできます。

立ち寄り湯もでき、久礼湾を望む展望露天風呂が人気の温泉旅館。写真は高台に設けられた屋外の休憩所。

しんなりと体にまとわりつくような、湯のとろみ。

江戸時代の本陣をイメージしたという店内、床や柱は黒塗りの木や竹で統一され、白壁とのコントラストがモダンな雰囲気。ロビー奥の海に面した大窓から光を取り込み、黒光りの床板に反射させて店内を優しい明るさに照らしています。
温泉は離れになっていて、「錆石の風呂」「白御影の風呂」と名付けられています。男湯女湯は日ごとに入れ替えですが、どちらとも御影石の浴槽が印象的。お湯は無色透明で、しんなりと体にまとわりつくような若干のとろみがあります。

海に面したロビーの大きなガラス窓からは、美しい久礼の海を望むことができる。

延々と広がる、雄大な大海原を見下ろしながら。

そして外に抜けると人気の展望露天風呂があります。この浴槽を満たすのは海水。汐湯と銘打たれたこの露天風呂は、太平洋の海水を汲み上げて加温した湯で満たされ、広い海との一体感を感じられます。久礼湾に浮かび土佐十景にも挙げられる名勝・双名島、その向こうに延々と広がる雄大な大海原を見下ろしながら、空の下で温泉に浸かるのはまさに贅沢の極み。絶景をわがもの顔にゆっくり浸かると、体の芯から暖まってゆきます。
また浴場までは木の渡り廊下を歩くんですが、その一番奥が展望所を兼ねた休憩スペースになっていて、湯上がりのここでのひと休みがたまらなく心地良いんです。高台になっているため、久礼の漁港や町を見下ろせるようになっています。ぷかりと煙草を一服しながら眺めていると、眼下には旋回する一羽の鳶。暮れゆく町を見届けるようにゆっくりと飛ぶ鳶と同じ視線で、港の穏やかな町並みを眺めました。

黒潮本陣は高台に立地していて、敷地内の展望台からは壮大な太平洋を眺められる。

情緒あふれる港町の風景。

黒潮本陣では宿泊や料理も楽しめる。

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