鍬溪温泉
くわたにおんせん □兵庫県小野市
人情も温かい、昔ながらの温泉小屋。
小野市の町はずれにある、掘っ立て小屋のようなこぢんまりとした一軒の温泉。こんもりとした小さな森を背に加古川の畔に湧き、町の人たちがこよなく愛するのは鍬溪温泉。昔は湯治場として賑わい、いくつかの温泉宿もあったそうですが、今はただひと棟、地元の老人会が管理するかたちで営業を続けています。週末には常連さん達がどこからともなく集まってきて温泉を楽しみ、そのあと10畳ほどの休憩スペースは賑やかな雰囲気に包まれます。まるで毎週が正月の寄り合いのように、湯上がりの談笑がこだましています。
「関西最後の秘湯」とも言われるも2010年に閉店。その後2018年に公衆浴場「きすみのの郷」として復活した。
空気に触れると、鉄分が酸化して茶褐色となる湯。
道標として鍬溪温泉の名が小さく標されている以外にはこれといった看板もなく、昔小学校にあったプレハブみたいな建物がかえって目印になります。周辺には他に施設っぽいものはないので、だいたいの場所さえ見当がついていれば、わりと簡単に見つけられます。入口すぐの勘定場で入湯料を支払います。勘定場と言っても卓袱台のようなもので、計算機とノートだけと至ってシンプル。
奥の暖簾をくぐり、簡素な脱衣場があり、ギシギシ音の鳴る扉を開けると浴場があります。湯は熱くもなくぬるくもなく、適温といった感じで、茶褐色に濁った色が特徴です。舐めてみるとかなりの塩味とエグ味、そして強いサビの臭い。鍬溪の湯には鉄分が多く含まれ、噴出時は無色ですが、空気に触れると鉄分が酸化して茶褐色となり臭いを発するのだそう。
かつての浴槽。鉄分を多く含むため、酸化して茶褐色の湯となる。
湯気と戯れながら、世間話が花を咲かす。
湯船の横には大黒さんの石像が立っていて、横には蛇口が二つ。片方は加温された源泉、片方は冷たいままの源泉、どちらも正真正銘のかけ流しです。そしてその両方を自分でひねって出し止めし、湯温を調節します。いろいろなところでとても個性的な温泉です。
大人3人ほどでちょうどいっぱいになる小さめの湯船は、檜造りの立派なものです。日曜の昼だったので、浴場にはたくさんの地元の方がいて、湯気と戯れながら世間話が花を咲かせます。「お宅の○○ちゃん、この前の町内会ではしゃいどったなぁ」なんて会話がはずむ、湯煙漂う浴場は地元色満開です。
こちらもかつての休憩室。湯上がりの休憩室は地元色が全開。宴会も開かれていた。
鍬溪温泉は、地域の人々の社交場。
そんな人間的な温もりも溢れる温泉を出たら、先ほどの休憩室、ほぐれた気分でホッと一息。同じように癒された人々が思い思いにくつろいでいます。鍋をつつきながら一升瓶が3本も並んでいる一団もあったり、囲碁を楽しむ一団もあったり、気が付けば番台の女性もお客さんと一緒にビールを飲んでいたり。それぞれの一団がお互いに共通の話題があるらしく、時折部屋の端と端で会話が交わされます。そんな間で下町人情的なやり取りを見ているのもなかなか面白いものです。どこまでもいい意味で力の抜けたこの雰囲気、鍬溪温泉は地域の人々の社交場として、大切な役割を果たしているようでした。
NEWS! | 残念ながら鍬溪温泉は2010年6月に閉館となりましたが、小野市の支援を受けて大幅リニューアル。公衆浴場「きすみのの郷」として2018年5月に再開されました。 |
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田舎の親戚の家に遊びにきたかのような雰囲気で、まさに地域の人々の社交場。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 鍬溪温泉 |
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所在地 | 兵庫県小野市下来住町山寄65 |
問い合わせ先 | 0794-63-3379 | 鍬渓温泉 |
休業日 | 月、火、水、金曜日 |
料金 | 入浴550円 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://kuwatani-onsen.com/ |
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食べログ | - |
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