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名古屋市市政資料館 名古屋市市政資料館

名古屋市市政資料館

なごやししせいしりょうかん □愛知県名古屋市
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壮観な建築美を誇る、大正時代の裁判所。

名称だけ見るとなんだか役所的なお堅い施設なのかなという感じですが、歴史的な建造物として見ると、圧倒的なほど見ごたえがある建物です。国の重要文化財に指定されていますが、その期待に見事に応える感動が待っています。年月を重ねているのに、今なお当時の輝き、威厳、誇りのようなものを存分に纏っています。フォトジェニックな空間や意匠が随所にあり、隅々まで見逃せません。あまりに美しすぎて、見学の時は興奮の冷めやらない時間でした。

名古屋市市政資料館

現存するのは2例しかない、控訴院の建物。

名古屋市市政資料館は1922年(大正11年)に裁判所として建設された建物。正確には当時「控訴院」といって、現代の高等裁判所にあたるものです。全国に8か所あったうち、建物が現存するのは名古屋と札幌のみだそうです。1979年まで現役で使われ、1989年から名古屋市市政資料館として公開されています。
また名古屋市の公文書館としても使われており、1889年の市制施行後の公文書、行政資料が今でも追加されながら保存公開されているという側面も持っています。

名古屋市市政資料館

重厚感と同居する、繊細な趣き。

まず外観の規模に驚かされます。構造としては鉄筋コンクリートですが、外壁は煉瓦積み。白い花崗岩がアクセントになり、建物の表情を作っています。3階建て正面中央にドーム屋根を持ち、左右対称のネオ・バロック様式。どっしりとした重厚感がありながら、細部に渡って繊細な装飾が施され、優雅な雰囲気も纏っています。真上から見ると「日」の形をしており、2つの中庭があるのも特徴です。
また1923年の関東大震災で耐震性への脆弱さが明らかになり、それ以降は煉瓦造りの大きな建築物は造られなくなったため、本建物は最後の大規模な煉瓦造り建築とも言われています。

名古屋市市政資料館

圧倒的な荘厳さを誇る、吹抜けの中央階段室。

中に入ってみます。まず1番の見どころである中央階段室があります。ここがまた素晴らしいです。2層の大きな吹き抜けになっており、大きな階段が中央にあります。ピカピカに磨き上げられた大理石の手摺、そこには精緻な模様の鋳物がはめ込まれ、かなり豪華な造りです。階段を上った正面と、アーチ型になった天井にはステンドグラス。これは建築当時からのものだそうで、荘厳な空間に華やかさを加えています。
それにしてもこの中央階段室、映画やドラマのロケでもよく使われるそうですが、まったくもって理解できる、圧倒的なオーラを纏った空間です。

名古屋市市政資料館

美しく設えられた、復原会議室。

まだまだ見どころがあります。次は3階にある復原会議室。70㎡以上あるという大きな部屋に、なんと一枚織りの豪華な絨毯が敷かれています。家具や調度品も当時のものを忠実に再現してありますが、どれも本当に立派なもの。装飾が施された折り上げ天井にはシャンデリアが吊られ、部屋の格式を上げています。デザインされた腰板やドア周りの装飾、窓枠やカーテンなど、どれも細部まで凝った意匠は見惚れるばかり。この部屋も重要文化財のひとつとして選定されているものです。

名古屋市市政資料館

当時のまま残された、地下の留置場。

それと地下にも見どころがあります。なんと地下には牢屋が。普通は裁判所の地下にあるものなのかどうか私は知らないのですが、この建物の地下には留置場があるのです。留置場といえど牢屋であって、分厚い扉に窓の鉄格子、無機質な房内に簡素なトイレという、以前に奈良監獄で見たものと変わらないリアルさがありました。

名古屋市市政資料館

時が美しいまま、止まっている。

さらに建物内廊下の壁や床の硬くて強そうだが温かみのあるコンクリートの質感、建設当時と同じ塗料で塗り直しているという木の窓枠、当時のものも残るという珍しい窓ガラス、縦長の窓から順番に廊下に差し込む光、窓から見える煉瓦の壁に囲まれた中庭、柱の隅々まで施された装飾など、いくつもの絵になるシーンに出会います。ここでは、時が美しいまま止まっているようです。

名古屋市市政資料館

市民活動が起こり、残された奇跡。

他にも裁判の様子を実物大で再現した部屋や、さまざまな名古屋市政に関する展示など、この建物に与えられた役割が多方面で展開されています。そして特筆すべきことに、これらは全て無料で見学できるのです。これほどの素晴らしい機会が、駐車場も含めて何もかも無料だなんて。
1979年に裁判所としての役割を終えた当初、この建物は解体される計画だったそうです。しかし市民活動によって貴重な文化財として保存されることになりました。とても賢明な判断だったと思いますし、今の時代に見られることはありがたいです。観光ガイドではあまり積極的なプロモーションはされていませんが、徐々に観光客が増えて、今では年間約10万人が訪れるのだそう。私自身もまたリピートしてみたい、名古屋の最重要スポットのひとつとなりました。

名古屋市市政資料館

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称 名古屋市市政資料館
所在地 愛知県名古屋市東区白壁1丁目3
問い合わせ先 052-953-0051 | 名古屋市市政資料館
休業日 月曜日(休日の場合は直後の平日)、第3木曜日(休日の場合は第4木曜日)、12月29日から1月3日
料金 -
駐車場 無料駐車場
公式サイト https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/52-7-4-0-0-0-0-0-0-0.html
wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/名古屋市市政資料館
食べログ
トリップアドバイザー https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298106-d1943475-Reviews-Nagoya_City_Archives-Nagoya_Aichi_Prefecture_Tokai_Chubu.html
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