高松城跡(玉藻公園)
たかまつじょうせき(たまもこうえん) □香川県高松市
海との一体感、風雅なる絶景。
瀬戸内海に面した城域を持ち、今治城、中津城とともに日本三大水城と呼ばれる高松城。威容を誇った天守は今はもう存在しませんが、海水を引き込んだ堀などその特殊な構造は目を見張るものがあり、日本100名城にも選定された人気の城郭です。1590年に築城されたあと江戸時代を通じて城塞として強化され、明治時代に解体されるまではその雄大かつ勇ましい姿が見られたといいます。現在では市街化の波に大部分の城域が街となりましたが、残されたエリアは玉藻公園として整備され、往時の名城を偲ぶことができます。
かつての西の丸に造られたJR高松駅から徒歩1分。朝8時に到着した電車を降りてすぐに、高松城跡を訪ねました。
冬の朝日が、松林に美しい陰翳をもたらす。
底冷えのする1月の平日早朝。城のすぐ横にあることでんの高松築港駅には次々と列車が到着し、その度に通勤通学客がどっと降りてきます。その人波に逆行して向かう高松城跡。しかし私も出張での商談前。このためにわざわざ始発で自宅を出てきたのです。
キンキンに冷えた空気に白い息を靡かせながら、まだ観光客もほとんどいない高松城跡を散策します。まだ昇ったばかりの太陽が横から差し込み、高松城跡の松林を特徴とする風光明媚に、陰翳をもたらしています。限りなく晴天ですが昨夜は雨が降ったようで、景色にはまだ雨の残像が感じられます。澄んだ空気をいっぱいに吸って、城内を歩きます。
海水を直接引き込んだ、珍しい内堀。
高松城跡には見どころがたくさんあります。まずは海水を直接引き込んでいるという内堀。水量は水門で管理されていて、水は美しく透明感感があります。青空を水面に映し、ハッとするようなブルーが印象的です。本丸は四方をこの内堀に囲まれて、橋一本だけで繋がっています。もしもの時はこの橋を落として籠城でき、また海を通じて脱出もできるという、戦術的にも考え抜かれた城なのです。ちなみにこの内堀では鯛が養殖されていてエサやりができるという、ユニークな体験も用意されています。
かつての勇姿を想像させる、水上の天守台。
その内堀に囲まれた本丸。そこから高みに突き出した天守台があり、南側から見ると海水に石垣が浮かぶような独特の佇まいです。かつて聳えていた天守は四国一壮大なものだったそう。4層の雄大なシルエットは1層目が天守台からはみ出していたそうで、昔の写真を見るとその美しい姿に感嘆します。いつか再建される日が来ることを願ってやみません。
また本丸につながる唯一の橋は「鞘橋」と呼ばれ、橋に屋根と壁が付いたもの。刀を納める鞘のようなことから、そう名付いています。歩いても鞘の中にいる感じはもちろんしないですが、屋根と柱に切り取られた堀の光景は風流なものです。
「月見櫓」や「艮櫓」など、重文が建ち並ぶ。
他にも高松城跡には見どころがたくさん。江戸時代から現存する「月見櫓」「艮櫓」「渡櫓」はそれぞれが高松城の面影を今に伝えています。さらに1917年に建てられた純和風の屋敷「披雲閣」。それらは皆、国の重要文化財に指定されています。
また披雲閣の横にある枯山水の庭園も見応えがありますし、「桜の馬場」は高松を代表する桜の名所でもあります。それと、どこにいても近くに感じられる美しい松。非常に手入れが行き届いていて、どんな景色をも引き立てています。このように高松城跡には、植物が織り成す豊かな景観もあるのです。
一度見ただけで、瞼の裏に焼き付く風景。
しかしなんと言っても高松城跡の素晴らしさは、瀬戸内海との一体感を感じる海城であることです。今は北側には港に面した道路が走っていますが、かつては城壁に直接海が接していたそうです。波が城壁に打ち寄せていたなんて、想像の世界でも十分風情をイメージできます。
水門を通じて内堀を満たす水は、太陽の角度によって刻一刻と色を変えています。一番素晴らしい眺めは、天守台から見る瀬戸内海方面の景色。海へと伸びる内堀、その両側には二の丸と披雲閣。正面には水門があり、その向こうに海が見えます。それはまさに絶景。空の青と、海の碧、松の蒼の中に石垣が映える景観。一度見ただけで瞼の裏に焼きついた、高松城跡の風景でした。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 高松城跡(玉藻公園) |
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所在地 | 香川県高松市玉藻町2-1 |
問い合わせ先 | 087-851-1521 | 玉藻公園管理事務所 |
休業日 | 12月29日~12月31日 |
料金 | 大人(16歳以上):200円、小人(6歳以上16歳未満):100円 |
駐車場 | 有料駐車場 |
公式サイト | http://www.takamatsujyo.com/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/高松城_(讃岐国) |
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