中山神社
なかやまじんじゃ □岡山県津山市
歴史と格式が描いたのは、独特な存在感。
津山城跡から北へ約5kmほど。郊外の住宅地を抜け、そこはもう中国山地が間近に迫る地域。そんな津山盆地の北の縁に、美作国一宮と言われ古くから人々の崇敬を集めた神社が鎮座します。中山神社。西暦700年代の初頭に創建されたという古社で、今も津山で随一の神社として知られています。
1791年に建てられた、独特の「中山鳥居」。
夕方に訪れた中山神社は夏の西日を真横から浴びて眩しく、しかし私の他には誰1人いない静かな境内でした。唯一、鳩のつがいだけが玉砂利の上で戯れています。
正面の鳥居は、中山鳥居と呼ばれるように独特の形をしています。といっても言われなければ気付かないかもしれないですが、上から2本目の「貫」と呼ばれる部分、普通は柱を突き抜けて「木鼻」と呼ばれる構造があるのですが、中山神社の鳥居は木鼻がありません。実は全国的にも珍しいものだそうですが、神社の地図記号は中山鳥居の形だという不思議。1791年に建てられた高さ約11m、歴史ある石造りの立派な鳥居です。
唯一残る津山城の建物遺構、四脚門。
参道を進むと神域に入るところに四脚門があります。手前には小さな堀を水が流れており、その上に四脚門を背景としてアオモミジが透き通った緑を見せて風流です。実はこの四脚門は津山城から移築されたものだそうで、その後津山城の一切の建物が破却されたため、今や唯一残る建物遺構となっています。
その門を抜けた左手には1742年に再建された惣神殿という建物があります。大変立派なもので、山上山下120社を合祀しているといいます。そして正面には、中山神社の荘厳な本殿が控えています。
剛毅と壮麗という、相反する美を兼ね備える本殿。
そしてこの中山神社の本殿は国の重要文化財であり、圧巻の迫力なのです。その大きさもさることながら、独特の造りが印象的。単層入母屋造妻入とされ詳しくは説明しずらいのですが、とにかく今まで見た神社にはなかった外観なのです。軒下の木組みなどは壮観で、単色ながら装飾的な意匠が随所に施されています。また全体的なフォルムが腰高というか、やけに重心が高い位置にあるのも特徴的。その割に巨大な屋根を背負っていて、しかもその屋根の反り上がりが見事。剛毅と壮麗という、相反する美を兼ね備える姿です。例えるなら、翼を広げた鷲であり、また鶴のような、どちらとも言える美しさを放っているように見えたのです。
全ての老木も、不思議な狛犬も。
西日に映える社殿に、その静けさの中で見惚れていました。夕暮れが近いことを、ヒグラシの声で知ります。本殿は美作に攻め入って中山神社を焼き払った尼子晴久自身によって、1559年に再建されたといいます。皮肉な逸話ですが、それほど中山神社はこの津山の人々にとって重要な心の拠り所であった証左だとも思えます。
境内には樹齢数百年を数える古木がいくつも見られました。また摂社の猿神社に因んでいると思われますが、狛犬はまるで猿のようで、体には獣と記されています。私のようなちっぽけな人間の感動なんて、幾千万も見てきたに違いありません。全ての老木も、不思議な狛犬も。全てが人智を超えていることを知らされた、中山神社の参詣でした。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 中山神社 |
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所在地 | 岡山県津山市一宮695 |
問い合わせ先 | 0868-27-0051 | 中山神社 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/中山神社 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1023447-d6699655-Reviews-Nakayama_Shrine-Tsuyama_Okayama_Prefecture_Chugoku.html |
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