国道260号線
こくどう260ごうせん □三重県志摩市
海も山も、人々の暮らしを感じながら。
この道が「日本の道100選」の一つに選定されていると知って、地図を眺めていました。英虞湾随一の島である賢島から、志摩半島を時計回りにぐるっと、さきしま半島を横断してその先端である御座港まで。さらに海を渡って対岸の浜島港から西へ、紀伊長島までの約100kmにわたる国道です。御座港と浜島港の間は海で隔てられ、かつてはフェリーがあったそうですが、今は廃止され車で一気通貫は出来ません。しかし地図を見ているだけでも素晴らしい道である予感がします。東半分は志摩半島のリアス式海岸と多島美を見ながら、開放的で爽快感のあるドライブが楽しめそうです。また西半分は複雑に入り組んだ海岸線に小さな港や集落が点在し、それらを繋ぐ情緒ある道であることが想像できます。
海の風景、山の風景が繰り返される。
以前に東半分は走ったことがあり、今回は西半分。浜島港から紀伊長島を目指します。路面も走りやすく、心地よいワインディングもあって、ドライブしていてとても楽しい道です。所々でバイパスも整備されていて、気持ちよく走れます。東半分とは違って山がちなエリアなので、場所によっては山の中を走り、また標高を下げては海沿いを走り、それを繰り返す感じです。海の風景、山の風景が繰り返され、景色の変化に富んだドライブが楽しめます。
道中では、人々の暮らしがあるのを感じる。
また港から港へ、その町を順番に巡っていくような感覚もあります。国道260号線を走っていると、標識に中津浜浦、阿曽浦、贅浦など、「浦」という地名がたくさん出てきます。そのひとつひとつに港や港町があり、人々の暮らしがあるのを感じるのです。そんな中、「浦」と同じように標識でよく目にするのが「竈」です。道行竈、小方竈、新桑竈など、こちらも次々に現れます。普通に読めば「かまど」ですが、ここでは「がま」と読み、集落を表す意味となります。実は平家の落人が逃れ辿り着き、人里離れたこの地を隠れ里として住み着いたという伝承。ひっそりと暮らした集落をこのあたりでは「竈」と呼ぶのだそうです。日本各地にある平家の伝説が、この地にも息づいているのです。
美しい入江や、急峻にそそり立つ山々。
つまり、国道260号線が巡るこの南伊勢エリアは、追手から見つからずに平穏に暮らしていけるほど隔世の地であり、長らく陸の孤島と呼ばれた所以でもあるのです。だからこそこの道が果たしている役割は非常に大きく、走っていても何故か不思議に感じるのですが、人々の暮らしを支えている風情がある道なのです。
また辿り着くのが困難な地であったからこそ、そのままに残された豊かな自然も特徴です。美しい入江や急峻にそそり立つ山々、ふたつとしてない景色が続き、それらを愛でる展望台がいたる所に設けられています。
旅情が、この上なく掻き立てられる道。
最近になっていくつかのエリアで広くて直線的なバイパスが整備されました。しかしそのエリアでは、それまでの道は旧国道として今も住民にとっては重要な生活道路。そちらをのんびりと走ってみるのもまた、このドライブの魅力のひとつです。海の暮らしがより近くに感じられ、旅情がこの上なく掻き立てられるからです。
実は国道260号線、かつてはいわゆる「酷道」の代表格として知られた道でもありました。今はバイパスで簡単に移動できる分、そうではない旧国道をあえてドライブすることも、マニアの間では話題になっているよう。今回は時間もなく断念しましたが、次はそんな本来の国道260号線を体感してみたいと思います。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 国道260号線 |
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所在地 | 三重県志摩市~北牟婁郡紀北町 |
問い合わせ先 | 0599-66-1717 | 南伊勢町観光協会 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/国道260号 |
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