一本橋
いっぽんばし □京都府京都市
趣きある町の景観、その象徴として。
京都東山の峰々に源流を発する白川。東山区の古くからの町並み、さらに祇園を抜けて流れ、鴨川へ注いでいます。川沿いには柳が垂れ、巽橋や老舗の料亭など風情ある景色が続きます。その白川に架かる一本橋は、独特の形と歴史を持つ橋。人ひとりが渡ればすれ違うことも出来ないほど細く、欄干もない小さな小さな橋です。しかし日本百名橋の番外に選定されている立派な観光名所なのです。
幅は60cmほどしかなく、欄干もない。
一本橋は古川町橋、行者橋、阿闍梨橋とも呼ばれますが、地元ではもっぱら白川の一本橋として親しまれてきました。訪れた時にもすぐ下流にある親水テラスでは地元の子供たちが集まって水遊び。初回の昼下がり、水深もごく浅い白川は絶好の遊び場になるのです。
現在の橋が架けられたのは1907年。細く切り出された石が2本並べてあるだけの、とても質素な造りです。幅は60cmほどしかなく、欄干もありません。まるで太めの平均台みたいに、実際渡ってみるとバランスを取りながら歩くような感じです。長さは12mほどで、高さもせいぜい1m。足元を見ると透明感のある白川の流れがすぐそばに見えます。
ひと目見たら、忘れられない橋。
白川の一本橋が素晴らしいのは、やはり周囲の景観と見事に調和した美しさです。下流側すぐの親水テラスや古門前橋から見ると、究極まで削ぎ落とされたシンプルさが、風流な水の流れと枝垂れ柳の世界で際立ちます。この町の持つ時間の流れや穏やかな空気感と呼応するように、しかし確かに風景の主役として佇んでいます。個人的に橋というものに興味があってたくさんの橋を見てきましたが、ここまで簡素なのに景観の主役として存在感を放つ橋を他に知りません。ひと目見たら、忘れられない橋なのです。
一本橋に秘められた、深い歴史。
橋の東側に小さな案内板があります。一本橋、別名行者橋と。なぜそう呼ばれるかというと、この質素な橋に秘められた深い歴史があるからです。
一本橋の東側には知恩院をはじめとした寺院が集積しているのですが、その中に尊勝院という天台宗の寺院があります。昔から比叡山延暦寺の僧の修行で「千日回峰行」というものがあり、文字通り1000日に渡る過酷な荒行があったそうです。最後の9日間は食べることも水を飲むことも許されず、ただひたすらに経を唱え続けるという命懸けの修行。そんな千日回峰行を終えた僧が最後に向かうのが尊勝院であり、その前に必ず渡るのがこの一本橋だったのです。一本橋を目の前にしてその歴史に思いを馳せると、極限まで簡素な造りと、悟りの境地を得た僧たちが歩く姿が重なります。
日常に溶け込んだ、風景の象徴。
一本橋の西側には古川町商店街、昭和レトロの雰囲気が若者にも人気の商店街があります。もちろんそれは再現された雰囲気ではなく、この町で昔から育まれてきた景色。町の人たちの日々の暮らしが積み重なってできた本物のレトロ感です。そんな町を流れる白川の清流の上、穏やかな町の空気の中で、日常に溶け込んだ風景の象徴として一本橋は今日も架かっています。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 一本橋 |
---|---|
所在地 | 京都府京都市東山区梅宮町478 |
問い合わせ先 | - | - |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/古川町橋 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d6777804-Reviews-Furukawamachi_Bridge-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202306 |
※掲載のデータは当ページ更新時点でのものです。以後の変更や詳細な情報につきましては、ご自身でお問い合わせの上ご確認いただきますよう、あらかじめご了承ください。