能福寺・兵庫大仏
のうふくじ・ひょうごだいぶつ □兵庫県神戸市
青空に映える、日本三大仏。
能福寺は新西国三十三所のひとつに挙げられ、また日本三大仏に数えられる兵庫大仏を擁する、神戸市にある古刹です。創建は平安時代初期の805年、伝教大師最澄によるとされ、以来1200年以上に渡り天台宗の寺院として時を刻み続けた歴史あるお寺。普通の神戸観光で赴くエリアからは、微妙に外れた場所にあります。だから能福寺まで訪ねる人はそう多くはなく、ひっそりと静かに大仏が坐しています。
大仏建立は、港町神戸ならではの理由。
まずは何と言っても兵庫大仏。大仏殿はなく、境内に直接安置されています。安置というより、聳え立つという感じ。境内には門や塀がありますが、その外からでも大仏様の表情まで十分拝めるほどの大きさがあります。高さは11m。台座が7mあるので、全部で18mもあります。5階建てのマンションくらいあるので、見上げると背景にはもはや空しかありません。
1891年に、地元の豪商からの寄進により建立されたそうですが、その理由はいかにも神戸らしいもの。開国以来、神戸は港町として栄え、兵庫港からは多くの外国文化が流入しました。キリスト教もそのひとつで、そのことに危機感を覚えた仏教徒が市民の信仰心を高めるために造立したそうです。港に降りてすぐに聳え立つ大仏はかなり目立ち、当時はたいそう話題になり、日本三大仏のひとつとして知られるようになりました。
初代よりも大きく、柔和な表情が印象的。
ところが太平洋戦争の最中、青銅製の兵庫大仏はなんと金属類回収令により国に供出されてしまいました。今の感覚では恐ろしい話ですが、能福寺には大仏がなくなってしまったのです。その後しばらくこの場所に大仏が戻ってくることはありませんでしたが、大仏建立からちょうど100年を迎えた1991年に、現在も拝むことができる新しい大仏様が再建されました。初代よりも約2.5m高くなった2代目は、柔和な表情が印象的。台座部分はビルシャナ殿と呼ばれる永代祠堂になっており、堂内には国の重要文化財である十一面観世音菩薩立像が安置されています。
本堂「月輪影殿」は、見事な建物。
能福寺は神戸大空襲や阪神淡路大震災など、度重なる苦難を乗り越えてきました。境内には比較的新しい堂宇が目立つのも、空襲や震災で焼失・全壊を経験したから。でもその中でも本堂「月輪影殿」は見事な建物です。風雅な名前を持つこの本殿は、1954年に京都東山の泉涌寺から移築されたもの。震災では傷を負ったものの、2年ほどかけて修復され、今も美しいお堂として人気があります。
また境内には美しく剪定された樹々が茂り、その合間を縫うように多くの石碑や石像が置かれています。幹線道路も近いのですが、全くそれを忘れる静けさ。また清々しい空気に満たされて、とても気持ちの良い境内です。
境内には、日本で唯一の清盛公の墓所。
また能福寺は平清盛ゆかりの寺としても知られています。平家一門の祈願寺に定められた能福寺、平清盛自身もここで剃髪し、出家しました。当時は大伽藍を構えて大変栄えたそうです。今も境内には清盛公の墓所があり、これは日本で唯一のものだそうです。兵庫大仏の傍に建つ十三重の石塔が、清盛公の栄枯盛衰を物語るようです。
また石碑の中には日本で最も古い英文碑や、「神戸事件」で知られる滝善三郎の慰霊碑などもあり、小さな片隅にまで見どころが詰まったお寺でした。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 能福寺・兵庫大仏 |
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所在地 | 兵庫県神戸市兵庫区北逆瀬川町1-39 |
問い合わせ先 | 078-652-1715 | 能福寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | http://nofukuji.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/能福寺 |
食べログ | - |
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