湊川隧道
みなとがわずいどう □兵庫県神戸市
近代土木建築の傑作、唯一無二の幻想的な空間。
見る者を一瞬にして引き込む、見たことのない地下トンネルの世界。その印象的すぎる写真を見てから、ずっと訪ねて見たかった湊川隧道。1年に1度だけ、秋に催される通り抜けに参加することが出来ました。普段でも湊川隧道の中でコンサートなどが月1回行われていますが、この日はトンネルを最後まで歩いて通り抜けられる貴重な機会です。
普段は堅く閉じられた湊川隧道東端の入口。でも今日は門が開かれ、真っ直ぐに暗闇へ続く下り坂のアプローチが待っています。左右にはパネル展示がされていて、歴史や土木建築の資料を見ることができます。それらもとても興味深いのですが、坂の下に見えるトンネルの暗さ、そしてほのかに香る地下空間独特の匂いが歩みを急かします。
阪神大震災によって、1世紀の歴史に幕を下ろした。
湊川隧道は1901年に完成した、日本で最古の河川トンネルです。六甲山系に水源を持つ湊川。古くから度々水害をもたらした川でしたがその治水対策として、また東西の交通を改善するために考うだされた方法は、なんと地下トンネルを作って流すことでした。当時の土木建築技術の粋を集めた一大プロジェクトで、並々ならぬ熱意が注がれた大事業でした。完成後は長年にわたって人知れず地下で活躍し続けます。しかし1995年、阪神淡路大震災が湊川隧道にも甚大な被害をもたらしました。改修ではなく、すぐ北側に新たな河川トンネルが作られ、湊川隧道は2000年、1世紀にわたる歴史に幕を下ろしたのです。でも近代土木建築の結晶としての価値は非常に高く、昨今のように人々が見られる形で保存されることになったのです。
赤レンガが形づくる、美しいアーチ。
さて、美しいアーチを描く湊川隧道の散策を始めます。壁と天井は古めかしい赤レンガで埋めつくされています。よく見るとレンガのサイズや積み方が、場所によって違うようす。床は御影石の石畳が敷き詰められています。元々は歩くために作られたトンネルでないから少し歩きにくいですが、水流による摩耗なども考えて設計された、頑丈さがひしひしと体感できる造りです。足元には少しだけ引き入れられた川の水が流れています。流れは分からないほどの量で、水面は動きません。だから反射で景色が映り込み上下対称に見えたりして、印象的な写真を撮るのに最適。
新しく建設された、新湊川トンネル。
湊川隧道は約600mに渡って続きます。冷んやりとしたトンネル独特の気温。その非日常的な空間の中にいると、さっきまでの地上の記憶を無くしそうな感覚。終端まで歩くと、実はもう一つのトンネルへと繋がっています。そう、新しく建設された新湊川トンネルです。付けかえられた湊川が、巨大なコンクリートのトンネルを流れている、そんな空間にたどり着きます。これがまた想像してなかった衝撃。スケールの大きな土木建築というのを、体で感じる瞬間です。
ゆっくり歩いた、約1時間の隧道散策。
そのトンネルを抜けて振り返って見上げると、トンネルの出口の壁面には「天長地久」と書かれた巨大なレンガ塀。湊川隧道の入口出口にあった坑口の意匠は、新しいトンネルに移設されたそうです。そこからは約1kmほど湊川な河原を歩きます。最終のゴール地点では手土産にオリジナルの瓦煎餅が配られます。ゆっくり歩いた、約1時間の隧道散策。幻想的な空間、そして雄大な建築美。感じ取るものが非常に多かった通り抜けでした。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 湊川隧道 |
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所在地 | 兵庫県神戸市兵庫区湊川町9丁目3−1 |
問い合わせ先 | 078-737-2382 | 神戸土木事務所 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | http://minatogawa-zuido.com/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/湊川隧道 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298562-d14982335-Reviews-Minatogawa_Zuido-Kobe_Hyogo_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202011 |
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