御霊神社

ごりょうじんじゃ　□奈良県奈良市

ならまちに鎮座する、思い出の神様。

御霊神社と呼ばれる神社は、有名なものも含めて全国各地にたくさん存在しています。御霊信仰という日本古来の信仰に由来するもので、天災や疫病を引き起こすという「怨霊」を「御霊」として崇めることで災難から逃れて幸せに暮らせるとする考え方です。だから熊野神社の熊野権現や天満宮の菅原道真公などのように共通した祭神があるわけではなく、御霊神社ではそれぞれの地域によって祭神もそれぞれ違っています。全国に御霊神社は30社以上あると言われますが、今回ご紹介するのは奈良市にある御霊神社です。

地元で親しまれる、「ごりょうさん」。

この御霊神社は奈良の古い町並みが残るエリア、ならまちに鎮座します。そして個人的には幼少の頃から何かにつけてお詣りしていた、馴染みの深い神社でもあります。我が実家も御霊神社の氏子になります。今はもうなくなってしまいましたが、夏祭りに屋台が並ぶのが毎年の楽しみでした。今思えばそれほど規模の大きいものではありませんでしたが、それでも自分の家から一番近くで開かれる縁日は子供にとっては至上の楽しみなのです。古き良き昭和の町角の賑わい、まさにお手本みたいな夏祭りでした。地元で親しまれる「ごりょうさん」は、今でも私の大切な夏の思い出のひとつであり続けています。

ならまちでは、一際存在感のある神社。

そんな御霊神社ですが歴史的にもかなり古く、西暦800年に桓武天皇の命により創建されたと伝わります。先に述べたように故人の怨霊を鎮めるために、この御霊神社で祀られているのは濡れ衣を着せられ非業の死を遂げた人物として知られる井上皇后と、他戸親王、事代主神です。いずれも死の世界から祟りが降ってこぬようにと神々として祀られたものです。言いかえればそのおかげで、ならまちは今日まで疫病や災難から守られ、現代に至るまでの繁栄があるのかもしれません。御霊神社は、ならまちでは今でも一際存在感のある神社なのです。

艶やかさとか、絢爛たるもの。

ならまち随一の神社といえど、御霊神社の境内はそれほど広くはありません。でも目にするもの全部が洗練されているというか、風格ある神社としての艶やかさとか絢爛たるものがあります。それは町に同化するようで、かつ威厳を感じさせる堂々たる赤鳥居に始まります。その脇を固める狛犬、その足首には紐が巻かれています。これは「足留め」のまじない。家から離れないように、あるいはこの家にまあ戻って来られるようにと願いが込められたもの。ならまちに暮らす人たちの、町に対する愛着や誇りを表す願掛けです。

縁結びで有名な、出世稲荷神社。

拝殿や本殿は大きくはないものの、どこか華やかな雰囲気があります。拝殿には色彩豊かな神具が並び、軒下には金色に輝く吊り灯籠、本殿は鮮やかな朱塗りが印象的です。
境内社も多くあります。菅原道真公を祀る若宮社、心身を清めるお社である祓戸社がありますが、最も有名なのは出世稲荷神社。開運や出世など多くのご利益がある境内社ですが、中でも注目されているのは縁結びのご利益。社の手前には「えんむすび」と書かれた提灯が置かれています。特に若い女性には縁結びの神様として親しまれており、ハート型の絵馬や恋みくじなども販売されています。

神社にも私にも、時間の積み重なりが。

普段は静かな御霊神社ですが、この日は正月の初詣ということもあり、賑わいを見せていました。実家から近いこともあり時々ふらっと立ち寄ったりしていましたが、改めて御霊神社を体感してみると昔は気づかなかったものがたくさんありました。自分にも時間の積み重なりがあるのだなと、少ししみじみ思う瞬間でした。
御霊神社の春は、境内に枝垂れ桜や八重桜、牡丹が美しく咲き誇ります。また新たな発見を求めて、訪ねてみたいと思います。

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称	御霊神社
所在地	奈良県奈良市薬師堂町24
問い合わせ先	0742-23-5609 ｜御霊神社
休業日	-
料金	-
駐車場	-
公式サイト	https://naramachigoryojinja.amebaownd.com/
wikipedia	https://ja.wikipedia.org/wiki/御霊神社_(奈良市)
食べログ	-
トリップアドバイザー	https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298198-d4895917-Reviews-Goryojinja_Shrine-Nara_Nara_Prefecture_Kinki.html
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