東西軸トランジットモール

普通に見えても、意味のある道。

百選めぐりとして日本の道100選を旅先に見つけては訪ねているのですが、福岡市にあるのは東西軸トランジットモール。普通は街道とか通りとかロードが付く道が多いのですが、これは変わった名前です。福岡市の博多区と中央区を東西に走る約4kmの道路で、もともと路面電車が走っていた区間が地下鉄に取って代わり、広くなったスペースを街路樹と歩道に作り替えたという道です。調べてみるとトランジットモールという言葉がちゃんとあって、都心の幹線道路だが車両よりも歩行者や公共交通機関に配慮した通りのことを指すそうです。だから歩道が広かったり、沿線のショップなどとの行き来がしやすかったり、あくまで歩行者にとって歩きやすい道になっているのだそう。

街歩きするには、とても歩きやすい道。

だからこの東西軸トランジットモールは、車にとっては手強い道というか、やはりいつも渋滞気味です。でもその分、街歩きするにはとても歩きやすい道。歩道が広くて人同士がぶつかることがないし、適度に街路樹や植込みがあって気分良く歩くことができます。
とはいえ、昔は画期的な街路計画だったかもしれませんが、昨今においては各地でも非常に多く取り入れられている手法でもあります。それこそ大阪の御堂筋なんかはそもそも車両の通行を無くして歩行者天国にしようという動きもあるほど。だから実際に歩いてみて、とりたてて感銘を受けるほどの道というわけでもありません。微妙なところ。

顕彰碑だけが、時代に取り残されたように。

でもさすがに福岡市の中心部を東西に貫くとあって、沿道にはさまざまなスポットが並んでいます。中洲、天神中央公園、アクロス福岡、水鏡天満宮。そして西へ行けば今福岡で大規模な再開発がいくつも集まった、天神ビッグバンと呼ばれるエリアを貫いています。だからこれからも福岡の主役の道のひとつであることは間違いありません。そして東西軸トランジットモール自体、これからも時代に合わせて変わってゆくのだと思います。天神中央公園の入口にある、日本の道100選の顕彰碑だけが時代に取り残されたように古びて見えました。

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