tabicocoloとは
御坂サイフォン橋 御坂サイフォン橋

御坂サイフォン橋

みさかさいふぉんばし □兵庫県三木市
公式HPwikipediaトリップアドバイザー食べログ
オススメ度

壮大な計画を象徴する、小さな水路橋。

御坂サイフォン橋

少し前に琵琶湖疏水を散策し、疏水というものの壮大なスケールとか計画性に感銘を受けて、個人的に大いに興味深い分野になりました。それで調べていたら疏水百選なるものがあり、たまたま近くで見られるものに淡河川疏水という疏水がありました。今回ご紹介するのは淡河川疏水を象徴する施設のひとつである、御坂サイフォン橋です。兵庫県三木市ののどかな山里エリアにある、規模としては小さな橋。しかしその歴史や役割については非常に興味深いものがあるのです。

均整のとれた、2つのアーチが印象的

御坂サイフォン橋

橋は志染川を跨いで架かる全長54m・高さは12mほどの石造りの2連アーチ橋です。中央付近に橋脚があり左右にアーチがあるため、地元では眼鏡橋とも呼ばれています。橋の下にちょうど小規模な堰があり、橋の上から見ると上流側は貯水池のように流れが緩やかで、下流側は流れ出した水が動きを見せています。下流100mほどのところに沈下橋があり、そこが御坂サイフォン橋を見上げるのがベストポイントです。この日は午後に訪ねたため、西からの日光に照らされた御坂サイフォン橋は周囲の風景に美しく映えていました。均整のとれたアーチも印象的です。

人が渡るのは、オマケのようなもの。

御坂サイフォン橋

橋ですから当然人が渡れるようになっています。御坂という集落と志染川を挟んだ南側の田園地帯を繋いでいます。でもなぜこれが疏水に関係があるかといえば、この御坂サイフォン橋の橋桁の中には水が流れているのです。というかむしろ水を流すために作られた水路橋であり、人が渡るのはオマケのようなものです。橋桁の下を水が流れていることこそ、御坂サイフォン橋の最大の存在価値なのです。実は御坂サイフォン橋は谷底にあります。橋の南北への延長線上には、どちらにも山があります。北側から南側へ水は流れています。水は高い所から低い所へ流れます。だから北側の山からこの橋まで水が流れてくることは容易に想像できます。でも南側の山を今度は上って水が流れているのです。しかもポンプなどの動力を一切使わずにです。単純に考えれば不思議です。どうやって水は山を上って流れていくのか。

サイフォン橋と導水管は、一直線に並ぶ。

御坂サイフォン橋

話は飛びますが、水槽の水を抜く時にホースを使ってちょっとした工夫で勝手に水が吸い上げられて排水する体験をされた方もいると思います。実は御坂サイフォン橋もそれと同じ仕組みで、しかも壮大なスケールで大したエネルギーも使わずに水を運んでいるのです。つまり北側の山の水位と南側の山の水位に微妙な高低差をつけることで、水槽から水を吸い上げるようにして山から山へ流れているわけです。山と橋の標高差は50mありますから、考えれば豪快なサイフォンです。北の山から橋を経て南の山への総延長は約750m。明治24年に完成し、今も現役で稼働している疏水です。南北の山の斜面には長大な導水管が見えています。橋から見ると、たしかにそれらは一直線に並んでいることがよく分かります。

130年以上経つという、初代のサイフォン橋。

御坂サイフォン橋

御坂サイフォン橋を下流から見ると、手前に新しいコンクリート製の橋脚、その向こうに同じ形状でかなり古そうな石造りの橋脚が重なって見えます。実は奥の橋脚が初代の橋で、手前の橋脚が戦後に架けられた2代目の橋です。新旧2本の橋が並列したような形で、現在は2代目の橋桁の中を水が流れています。橋桁の上部は共有され合体していますので、渡る時はあたかも1本の橋のように思えます。2種類の橋脚ですが、手前のものはつい数年前に改修されたため、ややのっぺりしている印象。でも奥の橋脚はさすがに築造されてから130年以上経つという、経年美化がすごい外見です。歴史的建造物的な存在感がありありと放たれています。

交わることなく交差して、流れてゆく。

御坂サイフォン橋

この日は周辺には誰もおらず、静かな里山の雰囲気を独り占めしている感覚です。お盆休みに入った日でかなり暑く、沈下橋付近でしばらく涼みます。流れてゆく清らかな川の水と、その上空を流れてゆく淡河川疏水。両者は交わることなく交差していて、ある種の不思議な感じがします。全長約26kmにものぼる淡河川疏水は、この橋の先にもまだまだ続いています。御坂サイフォン橋は日本で最初のサイフォン橋と言われます。130年以上もの時間も、間違いなくそこには流れていました。

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称 御坂サイフォン橋
所在地 兵庫県三木市志染町御坂205
問い合わせ先 0794-83-8400 | 三木市観光協会
休業日 -
料金 -
駐車場 -
公式サイト -
wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/御坂サイフォン橋
食べログ -
トリップアドバイザー https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1022827-d10895498-Reviews-Misaka_Saifon_Bridge-Miki_Hyogo_Prefecture_Kinki.html
LAST VISIT 202208                         

※掲載のデータは当ページ更新時点でのものです。以後の変更や詳細な情報につきましては、ご自身でお問い合わせの上ご確認いただきますよう、あらかじめご了承ください。

近くのおすすめスポット

ページトップへ戻る