御坂神社
みさかじんじゃ □兵庫県三木市
忘れてはならない、神社の心象風景。
日本の土木遺産として淡河川疏水の象徴でもある御坂サイフォン橋を訪ねた時に、いかにもその周辺集落の氏神様として悠然と佇む神社があったので立ち寄ってみました。のどかな山里におけるお手本のような佇まいで、御坂神社という神社です。石の鳥居の横に駐車場があり、御坂サイフォン橋の見学に車を停めましたので、御礼という意味でもお詣りします。
「みさかじんじゃ」が、8社ある不思議。
兵庫県三木市には「みさかじんじゃ」と読む神社が、なんと8社もあるそうです。御坂、三坂、美坂、御酒と漢字表記はバラバラなのですが、ちょっと不思議な感じがします。この御坂神社の縁起ははっきりはしないそうですが、奈良時代の書物である「播磨国風土記」には「志染の里三坂にます神八戸掛須御諸神」と記述があり、この御坂神社の主祭神も八戸桂掛須御諸神であることから関連が想起されます。もっともライバルも7社ありますので、なかなか断定できないというところでしょうか。また16世紀にこの地域に大規模な討伐を行った羽柴秀吉により、地域の歴史を記した書物などは全て焼失したそうで、その後1608年にこの地に遷座した以降のことしか記録にないそうです。
目を奪われた、本殿の装飾的な意匠。
何はともあれ、静かな境内を散策します。鳥居をくぐって正面に、その向こう正面にある拝殿を目隠しするような建物があります。見えるのは建物の裏手で、回り込むとそれはどうやら能舞台でした。拝殿に向かって建てられており、この時は床に何かが置かれて布が被せられていました。2日後に盂蘭盆を控えていた日で、近くなんらかの行事があるのかもしれません。
拝殿と本殿は一体となって境内の奥にあり、左手に大きな御神木が、右手には小さな森があります。森の中には陰陽石が置かれていて、独特の雰囲気があります。その森からは本殿を横から見ることができ、その装飾的な意匠は素晴らしいものがありました。外壁に白虎や青龍が彫刻されていて、その色彩的なものも含めて一見の価値があります。
毎日の積み重ね、毎年の繰り返し。
御坂神社はとりたてて大きな神社ではありません。でもごくごく一般的な、いい言葉を使えば模範的な日本古来の神社の在り方を示してくれています。特別なお願い事がある時だけとかパワースポットがなんだとか、それも大切なことではありますが、そんな一過性のものではなく、毎日の積み重ね、毎年の繰り返し、代々にわたる信奉が感じられる神社です。町の人々が日々の暮らしの中に取り込んで、御坂神社とともに小さな歴史を紡ぎ続けているのです。そんな素敵なものを肌で感じながら、夕暮れに鳴き出したヒグラシとともに境内でしばらく過ごしました。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 御坂神社 |
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所在地 | 兵庫県三木市志染町御坂243 |
問い合わせ先 | 0794-87-3545 | 御坂神社 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://misaka-jinja.com/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/御坂神社 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1022827-d8869955-Reviews-Misaka_Shrine-Miki_Hyogo_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202208 |
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