羽山第2トンネル
はやまだいにとんねる □岡山県高梁市
奇想天外、岩盤を素掘りしたトンネル。
初めて写真を見た時に、それが何かを理解するのに少し時間を要したほどに想像を超えてくるスポット。目的地からは遠回りになるけれど、どうしてもこの目で見たくて羽山第2トンネルを目指しました。岡山県の山間部を走る県道300号線、険しい谷を抜ける道にあります。この県道は部分的に車一台がようやく通れるような幅の区間もあり運転するにも注意が必要な道ですが、かつてはベンガラで有名な吹屋と高梁を結ぶ道として使われていました。前方から車が来た時のことを想定しながら、ゆっくりめに運転。道路脇の草木が車体をこすったりして、気が抜けない細道です。でも幸運にも対向車もなく羽山第2トンネルまで到着。交通量はさほど多くないようです。
トンネルというより、洞窟のような感覚。
羽山第2トンネルは突然目の前に現れました。今回は東側からのアプローチだったので、ガイドブックなどに載る写真とは反対の入口からです。入口はほんとに車一台分の幅、高さのイメージで、入る時には少し緊張します。内部はトンネルというより、まさに洞窟のような感覚。それもそのはずで、この辺りのエリアはカルスト地形になっていて、その岩盤を素掘りで貫いて作られたため、いわば鍾乳洞と同じようなものなのです。羽山第2トンネルは大正10年に開通した、長さは32m、幅3mのトンネルです。素掘りゆえに壁面はゴツゴツとした石灰岩の岩肌が露出し、反射板はあるものの照明設備はありません。
巨岩の底辺に出来た、隙間みたいな穴。
出口に近づくとその間口はかなり広がっています。端っこはかなり低くなっていて、人さえ這ってでないと通れないくらい。つまりこちら側はトンネルとして掘られたというより、ある程度は元々の自然の形を利用したんじゃないかと思われます。そして抜けてから車を停めて、あらためて見上げてみると。。。これは本当に凄いです。トンネルの上は高さ数十メートルはあろうかという巨大な岩山で、その極々低い部分だけがくり抜かれてトンネルになっているのです。巨岩の底辺に出来た隙間みたいな穴で、これだけ見たらおよそトンネルだなんて思いつかないでしょう。車を横に置いてみると、その岩塊の巨大さが際立ちます。そして見たこともない、すごく不思議な光景です。
昔の方々の発想力にも、驚かされる。
そして実はこのトンネルの横には小さな鍾乳洞があります。「穴小屋」と呼ばれるこの鍾乳洞は、入口はしゃがんで進まないと入れないくらいの低さ。観光用の配慮は一切されていないので、照明器具などが無ければ入れません。下調べが足らず装備も気持ちも準備できていなかったので、今回は断念。しかしいざ穴小屋の入口に立つと、正直少し怖い気持ちも湧いてきます。ところでこの小さな鍾乳洞があるということは、やはり羽山第2トンネルの何パーセントかは自然の造形をそのまま利用していることなのでしょう。昔の方々の発想力にも驚かされます。
とても澄んだ、美味しい空気に満ちている。
羽山第2トンネルの辺りは、車を降りてみるとひんやりしていました。山深い場所ということもあるし、すぐ横を流れる島木川から涼しげな空気が満ちているからです。つまりとても澄んだ、美味しい空気に満ちています。この辺りは島木川がカルスト地形を削り取ってできた羽山渓という名所でもあります。羽山第2トンネルも興味深いですが、この清冽で静かな羽山渓の環境もまた素晴らしいものがあります。特に秋には紅葉の名所としても有名で、あたり一面が鮮やかな色に染まるそうです。
まだまだ驚きの連続、岩だらけの道。
羽山渓沿いの県道の驚きは羽山第2トンネルだけに留まりません。羽山第2トンネルから少し北へ走ったところに、第1トンネルがあります。こちらも素掘りのトンネル。出入口は第2トンネルのように自然のままではないですが、それでも狭いトンネル内部のゴツゴツとした岩壁は迫力があります。長さも73mと倍ほどあり、通り抜けること自体は第1トンネルの方が面白いかもしれません。さらにその先にはまた巨大な岩山が道路の上を覆うのですが、今度はトンネルではなく片側の壁がない半トンネル。巨大な波が岩として固まったような、その波の中をすり抜けていくような感覚です。まさに岩だらけの道。あれからしばらく経った今でも、すぐにでももう一度走りたい道です。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 羽山第2トンネル |
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所在地 | 岡山県高梁市成羽町羽山 |
問い合わせ先 | 0866-21-0217 | 高梁市産業観光課 |
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