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備中松山城 備中松山城

備中松山城

びっちゅうまつやまじょう □岡山県高梁市
公式HPwikipediaトリップアドバイザー食べログ日本百名城
オススメ度

山上に威容を誇る、稀代の名城。

備中松山城

備中松山城はさまざまな魅力に溢れた、必ず一度は訪ねてみるべき名城です。岡山県高梁市という山間の町にある山城でアクセス的にはやや行きづらいエリアではありますが、それ以上に得られるものが多いというか、誰しもが素晴らしい発見と体験ができるお城だと思います。備中松山城を捉えた写真で、雲海に浮かぶ神秘的な山城の絵を見たことがある方も多いと思います。今回は雲海が発生しにくい真夏ということもありそれは諦めて、半分登山のような備中松山城そのものをしっかり味わってきました。

標高430mに聳える、日本三大山城。

備中松山城

備中松山城までの道のりはなかなかに大変なものがあります。今回は車での訪問ですが、行けるのは麓の集落を抜けたあたりにあるバス発着場の駐車場までです。そこからはシャトルバスに乗り、標高差100mほどを上り、ふいご峠駐車場という標高291mの地点まで運ばれます。そしてここからは自力。天守は標高430mなので、まだまだ結構残っています。実は備中松山城は現存天守を持つ山城としては、日本で最も高い所に位置する城なのです。他にも備中松山城はさまざまな肩書きを持ち合わせています。日本100名城であり、江戸時代の天守が今も聳える現存12天守のひとつ。また天守、二重櫓、土塀の一部が国の重要文化財に指定されています。さらに美濃の岩村城、大和の高取城と合わせて、日本三代山城とされていたり。とにかく見どころの多い城であることは確かなようです。そんな期待を胸に、結構キツい山道を登っていきます。

巨大要塞のような、大手門跡の石垣。

備中松山城

森の中の山道をしばらく歩いて、初めに見る城の形跡は「中太鼓の丸跡」の石垣です。今は石垣しかありませんが、昔はここに太鼓を設えた櫓があり、山上の本丸と麓との間で太鼓の合図により情報伝達されていたそうです。その少し先まで歩くと、備中松山城のハイライトのひとつである「大手門跡」があります。櫓門はありませんが、高く積み上げられた石垣が圧倒的な存在感を放っています。これは見れば見るほど壮観なもので、何重にも階段状に積み上がってゆく石垣はまるで巨大な要塞都市のよう。しかもよく見ると天然の岩盤と人工の石垣が融合されている部分まであります。個人的にはこんな石垣は初めて見たので、大興奮です。高さは10数メートルはあるでしょうか。その迫力に、思わず言葉を失ってしまうほどです。

江戸時代から現存する、三の平櫓東土塀。

備中松山城

大手門跡から少し登ると、左側にカーブを描きながら続く土塀があります。これが「三の平櫓東土塀」で、江戸時代から現存する土塀です。山城という過酷な自然環境の中を、石垣ではなく土塀がそのまま残っているということは大変貴重なのです。土塀として国の重要文化財に指定されています。壁には弓を射るための四角い穴と鉄砲を撃つための丸い穴が空いていて、いかにも城砦といった風情を感じます。その先へ進むと二の丸があり、そこでようやく眺望も開けてきます。標高は400mを超え、さすがに高梁の城下町もはるか眼下に小さく見えています。

300年以上の歴史がある、備中松山城天守。

備中松山城

二の丸から入場料を払い、本丸と天守のエリアに入ります。本丸は100m四方ほどで、その一番奥に天守が聳えます。諸説ありますが17世紀には建造されているようで、300年以上の歴史がある天守。2層2階でそれほど大きくはないですが、向かって左側に小さな櫓がくっついていて、また地面から立ち上がる石垣の上にあって背景の空を突き上げるような趣きもあり実際以上に大きく見えます。完全なる木造で、内部は太い柱や梁が縦横無尽に行き交い、長年に渡り時代を生き抜いてきたようにかなり頑丈であることが分かります。

連子窓越しに見える、緑豊かな山並み。

備中松山城

1階には畳一枚くらいの大きさの囲炉裏があり、ちょっと驚きました。また一段高い所にある「装束の間」は城主が過ごした場所とされます。攻められた時に自害を果たす場所としても考えられていて、内側から締め切ると開けられない仕組みになっているといいます。2階には城を護る神を祀った「御社檀」と呼ばれる間があり、当時の城主や武士たちの祈りが染み付いているような不思議な雰囲気を感じます。また天守全体の窓は「連子窓」と呼ばれる、機能的にも意匠的にも優れたもの。別名は武者窓とも言われ、格子で防御性を高めながらも内からは外の様子がよく見え、逆に外からは内が見えにくい窓になっています。そして何より連子窓で切り取られる形や外光がとても美しく、その整然としつつも剛健な見た目が心を打ちます。連子窓の向こうに見える緑豊かな山並みも、特別な風景です。その連子窓から、北側に見えたもの。本丸の内側で天守よりもまだ奥に、小さな2層の櫓がありました。こちらも国の重要文化財である「ニ重櫓」です。ニ重櫓は天守の影に隠れるように、天然の岩盤を基礎として建っていて、足元を見ると屈強な岩肌が印象的です。ひっそりとした雰囲気はこの櫓が持っていた役割を暗示するようです。

備中松山城の全容は、想像以上に。

備中松山城

しかしこれで備中松山城を全部見たわけではありません。このように一般的に観光客がよく訪れるのは備中松山城の長い歴史の中で近世城郭とされる、戦国時代以降の備中松山城のエリア。実はさらにその奥に、建物や石垣もない曲輪だけの中世城郭もあるのです。でも猛暑の登城ですでに汗だくなのでさすがに断念。牛が寝そべったように長い山容から臥牛山と呼ばれる山、その山頂や尾根一帯に広がっているのが備中松山城の全容なのでした。山陽と山陰の狭間の重要な軍事拠点でもあり、いつの時代も争奪戦の的となってきました。何度も城主が入れ替わったそうですが、歴代の城主もこの山頂で住むのは大変だったろうなと率直に思ってしまいました。

キュートな城主、さんじゅーろー。

備中松山城

あともうひとつ、備中松山城で見なければ、というか会わなければならないもの。それが猫城主の「さんじゅーろー」です。元々は三の丸で保護された迷い猫だったそうですが、備中松山城に住み着くようになり2018年に正式に城主として就任されました。この日は本丸の「五の平櫓」の指定席でまったりと午後を過ごされていました。ふさふさの猫ちゃんで、まん丸の顔がチャームポイント。首から下げた黄色い名札もキュート。触らせてくれたり、写真も撮らせてくれます。可愛すぎて、ここまで登城してきた疲れも忘れてしまいます。

他では見られない魅力が、一城に詰まっている。

備中松山城

ずいぶん長く書いてしまいましたが、それだけ魅力に溢れた備中松山城。今までいくつも城を訪ねてきましたが、現存天守の存在感、山城の特徴や壮観な石垣など、他では見られない魅力が一城に詰まっています。とても素敵なお城です。いつかまた訪れる時には、ここから谷をひとつ挟んだ場所にある「雲海展望台」から、朝の雲海に浮かぶ幻想的な備中松山城も見てみたいと思います。

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称 備中松山城
所在地 岡山県高梁市内山下1
問い合わせ先 0866-22-1487 | 松山城管理事務所
休業日 12月29日~1月3日
料金 大人:500円、小中学生:200円
駐車場 無料駐車場
公式サイト https://www.bitchumatsuyamacastle.jp/
wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/松山城_(備中国)
食べログ -
トリップアドバイザー https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1023454-d1384515-Reviews-Bitchu_Matsuyama_Castle-Takahashi_Okayama_Prefecture_Chugoku.html
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