麗ちゃん・広島お好み焼き

最も新しい場所にある、昭和32年創業の老舗。

昼間にみっちゃん総本店のお好み焼きを満喫したその日の夜は、JR広島駅の商業施設ekieにある人気店で昭和32年創業の老舗、麗ちゃんを訪問。ekieでは「廣島ぶちうま通り」と名付けられたゾーンがあり、麗ちゃん、みっちゃん総本店、いっちゃんといった名店が暖簾を並べていてお好み焼き横丁のような一角になっています。白地に赤色で大きく書かれた「麗ちゃん」の暖簾をくぐって、鉄板と一体となったカウンター席に座りました。

鉄板の前で、広島のお好み焼きを学ぶ。

メニューは広島お好み焼きとしては一般的なイカ、エビに加えて餅やイカ天といった人気のトッピングもあり多彩。でも今回はあえて定番の「そば肉玉」にします。豚肉と玉子、そばの最もオーソドックスなメニューです。もちろん注文してからの調理のため少し時間がかかるので、しばらくは目の前の鉄板で繰り広げられる職人さんたちのお好み焼きとの熱い闘いを見物します。これが非常に見ていて楽しく、広島お好み焼きの作り方を一から学ぶようなものです。

主役のキャベツが、山盛りに。

まず鉄板の上に記事を円形に薄く伸ばします。想像してた以上に薄くて、例えばクレープよりも薄いです。その上に魚粉をふりかけ、主役のキャベツが山盛りに盛られます。さらにモヤシ、ネギ、天かす、豚肉を積み重ね、つなぎとして再度生地を回しかけます。この時点で結構時間が経っていて、一番下の生地が焦げたりしないんだろうかと気になったり。そんなタイミングで、鉄板の上に置かれている小さなヤカンから透明の液体をお好み焼きにかけます。最初は水かと思いましたが、ラードです。その後はヘラで豪快にひっくり返します。しっかり焼かれていた生地は、こんがりキツネ色。その生地が蓋となって、キャベツとモヤシは蒸し焼きにされます。

色々合体させて、仕上げの焼きに。

それからそばの準備。生麺を茹でてから、鉄板にオン。麗ちゃんのそばは隠し味のケチャップをかけて焼かれます。お好み焼きの形に合わせて円形に広げて、しばらく焼き上げます。そして先ほどのお好み焼きを乗せて合体。さらに次は玉子。鉄板に割り落とされた玉子は、これも円形に広げたあと、お好み焼き本体を玉子にオン。ここでようやく三位一体となって、生地を下にひっくり返し、仕上げの焼きです。最後にソースと青海苔をかけて完成。ここまで15分くらいでしょうか、でも目の前で観察するのが楽しくてすぐに時間が過ぎます。麗ちゃんの鉄板はかなり大きく、常時5人の焼き手がひとり4枚ずつ同時に焼いていました。

広島の真髄を食べているような気分。

さていよいよ実食です。皿に取ってもらうこともできますが、もちろん鉄板からそのまま、ヘラを使っていただきます。麗ちゃんのお好み焼きは生地、キャベツ、そば、玉子の層がわりとはっきりしていて、それぞれの旨味を口の中で味わいながら融合させるような感じ。断面が美しく、そして美味しいです。特にキャベツとモヤシはみずみずしいけれど決して水っぽくはなく、絶妙な食感に仕立てられていて、その甘さが強調されます。ソースは地元で定番の毛利醸造「カープソース」。甘口が最初に少しだけかけられていますが、テーブルに甘口・辛口・無添加の3種類置かれていて、自分で調整しながら食べていきます。ソースによる味変を楽しみつつ、広島お好み焼きの真髄を食べているような気分。鉄板の上なのでいつまでも熱いのもポイントです。

JR広島駅に直結という、画期的便利さ。

ということで大満足だった、麗ちゃんのお好み焼き。JR広島駅に直結ということもあり、出発前に立ち寄るにも便利です。まさに、100点満点の名店。
ふと、目の前の鉄板で技を振るう焼き手の方の名札に目が行きました。そこには店の公式サイトにも出てらっしゃる3代目社長のお名前が。今も自ら鉄板と対峙してらっしゃることもそうですが、その隣の若手の方も同じ苗字。直接聞きはしなかったのですが、おそらく親子で並んでお好み焼きを焼いてらっしゃるのだと思います。こうやって、代々の味が受け継がれてゆくのだなと思いながら、最後の一口まで楽しみました。

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