神子畑鋳鉄橋
みこばたちゅうてつきょう □兵庫県朝来市
日本最古の鋳鉄橋、山奥に静かに架かる重要文化財。
兵庫県西部を南北に貫く国道312号線は、生野銀山で産出する銀や銅などの鉱石を輸送するメインルートとして栄え、別名「銀の馬車道」と呼ばれました。さらに明治に入ってから再び鉱脈が発見された神子畑鉱山、そこで採掘された鉱石を生野にある精錬所まで運ぶ道を「鉱石の道」として整備する必要が出てきました。その時に作られたのが、今回ご紹介する神子畑鋳鉄橋です。
山間の風景に埋もれるように、ひっそりと。
神子畑鋳鉄橋は、生野から国道429号線を西へ少し走ったところにあります。小さな駐車場が設けられていますが、どちらかといえば山間の風景に埋もれるようにひっそりと佇んでいます。たぶん、何も下調べがなかったら気がつかないでしょう。周囲を山に囲まれた谷間を流れる神子畑川に架かる、長さは16mほどの小さな小さな橋。しかし実は日本史上でも大変貴重な橋で、国の重要文化財に指定されている橋なのです。
130年以上、ずっとこの静かな山奥で。
車を置いてまず、すぐ降りられる河原から神子畑鋳鉄橋を眺めてみます。欄干から橋脚のアーチまで、全部真っ黒で重厚な感じが、離れた場所からでも分かります。大きさはともかく、これは何か違う橋だぞと、そんな直感があります。河原から上がって近づいてみると、いよいよその個性的なファサードがよく分かります。
鋳鉄というのは溶かした鉄を鋳型に流し入れて成型するものです。神子畑鋳鉄橋が架けられたのは1885年。鋳鉄製の橋では日本に現存する最古の橋なのです。そして鉄製の現存する橋としても、日本で3番目に古い橋。1.2番目は記念碑的に移設展示されているのに対して、この橋はあいも変わらず130年以上、ずっとこの静かな山奥で控えめに存在し続けているのです。
鋳鉄ならではの、温かみのある質感。
橋を渡ることもできます。木の床板が張られていて、鋳鉄との見た目のバランスがとても美しい。欄干を触ると、まさに鋳鉄の重厚感。素朴であり無骨な艶消しの漆黒、ザラザラとした肌触り、ずっしりとした重量感。そして鋳鉄ならではの、温かみのある質感。正直、こんな橋を見たのは初めてです。欄干や橋脚のアーチに施された装飾も、すべて鋳型によるものです。かなり見ごたえのある名橋なのです。
当時、横須賀で作られてこの但馬山奥まで運んできたと、ガイドのおじさんが話していました。姫路港までは水運で、そして銀の馬車道をまさに馬車で運んだそうです。同じような時期に作られた鋳鉄橋が他に4つあったそうで、現存するのは神子畑鋳鉄橋のほかにもうひとつ、羽淵鋳鉄橋というのが国道312号線沿いに見られます。いずれも他所ではなかなか見られない傑作の橋です。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 神子畑鋳鉄橋 |
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所在地 | 兵庫県朝来市佐嚢 |
問い合わせ先 | 079-672-4003 | 朝来市役所産業振興部観光交流課 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://www.city.asago.hyogo.jp/0000000388.html |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/神子畑鋳鉄橋 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1022837-d8148486-Reviews-Mikobata_Cast_Iron_Bridge-Asago_Hyogo_Prefecture_Kinki.html |
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