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生野銀山 生野銀山

生野銀山

いくのぎんざん □兵庫県朝来市
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オススメ度

歴史に残る鉱山は、今も美しい価値を秘める。

生野銀山

佐渡金山や石見銀山とともに、歴史に大きな影響を及ぼした日本有数の鉱山。生野銀山は昭和48年に閉山しましたが、その名誉ある歴史を今に伝えるため、一部の坑道が当時のまま公開されています。その内容は予想以上に素晴らしくて、初めて訪れた時にはずっと興奮していました。それは何かと言われたら、個人的な好みがあることは確かです。私は終わってしまったものに、特段美しさを感じるからです。

幕が降ろされた、1200年の系譜。

生野銀山

生野銀山は平安時代にはすでに鉱脈が知られていたといいます。1200年の歴史とロマン。パンフレットにもそう記述があります。採鉱が本格的になるのは戦国時代。質、量ともに秀でた生野銀山は大変貴重な鉱山として、織田、豊臣、徳川と代々の権力者はここを直轄地とし、さらに明治政府にも引き継がれ官営の鉱山として運営されました。以降は急速に近代化され、鉱脈が果てるまで生野銀山は時代を駆け抜けました。そして高度成長期時代をモノづくりの原点として支え、やがてその役目を終えたのです。1200年の歴史が幕を下ろす、それはすごく重いことだと思います。だからこそ、生野銀山は今もまた別の姿で受け継いでいく意味があるのだと。

想像をはるかに超える、巨大な地下要塞。

生野銀山

前置きが長くなってしまいましたが、生野銀山は主に銀、銅、錫を産出した鉱山で、人間と歴史が造り上げた坑道は総延長なんと350km、深さは880m。想像をはるかに超える規模で、この山の下には巨大な地下要塞があるのです。1974年からその一部が観光用に公開されていて、鉱山という、多くの人にとって未知の世界を垣間見ることができます。
坑道内は年間を通して約13℃。真夏日に訪ねたのでちょうどいい涼しさかと思ったのですが、日差しもない中でしばらく歩いていると寒く感じてきます。坑道用に上着を1枚準備した方がいいです。ほとんどの場所で地下水も染み出していて、天井からよく雫が落ちてきます。水量が多いところでは沢のような流れも出来ています。ある程度進んでから思いましたが、まるでドラクエのダンジョンです。何ヶ所も坑道は枝分かれして、順路の看板があるからいいですが、仮に無ければ完全に迷子になってしまうでしょう。

大自然に対峙した、坑夫たちの爪跡。

生野銀山

そんな坑道探索は、約45分ほど。その中ではたくさんのモノゴトを観察できます。江戸時代に坑夫がノミひとつで掘り進んだ小さな坑道「狸掘り」、ひとつひとつノミの跡が生き生きとして残っています。または岩肌に坑夫が刻んだ観音様とか。底が見えないほど垂直に掘られたのは鉱脈そのものの跡、いわば抜け殻のようなものです。ある場所の岩壁には鉱物を含んだ岩が露出し、光の加減でキラキラと輝きます。そういう訳で、まずは大自然とそれに立ち向かった坑夫たちの爪跡に驚嘆します。

いい意味で衝撃の企画、「銀山ボーイズ」。

生野銀山

そして面白いのが、いたるところで採鉱の作業が人形で再現されていること。原始的な方法から近代化された方法まで、時代を追いながら作業工程を再現してあります。まずすごく分かりやすいのがひとつ。もうひとつは一体一体全部違う顔で、やけにリアルな表情で、それぞれ別の作業をしていること。つまりそれぞれに個性を感じる設定にしてあるのです。その数60体。その名も、超スーパー地下アイドル「銀山ボーイズ」。参りました、素晴らしい発想。人気投票なんかもやっています。ハマる人なら、坑道よりも銀山ボーイズ目当ての人もいるんじゃないでしょうか。ちょっとした、いい意味で衝撃を受けた企画でした。

展示物も、現役で稼働しているような臨場感。

生野銀山

坑道の最終盤には、巨大な巻き揚げドラムが展示されています。これが圧巻。坑道もはるか上まで続いていて、太いワイヤーが上下の層をつないでいます。坑道内を走るトロッコや、垂直に移動するためのエレベーター、また閉山時まで使われていたドリルなどもそのまま保存展示されてあり、今でも現役で稼働しているような臨場感があります。まさに鉱山の真実がよく分かるスポットです。

「慶寿ひ」と呼ばれる、江戸時代の露天掘り跡。

生野銀山

また坑道入口の左側には階段があります。澄みきった美しい水が流れる沢があり、沢に沿って道があります。その道を進んでいくと、「慶寿ひ」と呼ばれる露天掘りの跡が見られます。岩盤の間をスパッと切り抜いたように、ある一定の幅で岩が削られた珍しい地形です。まさにここに鉱脈があった証。これが江戸時代のものだそうで、巨大さには目を見張るものがあります。周囲には今は閉ざされた坑道口があったりして、生野銀山はどこもかしこも1200年の生き様を残しています。全部で2時間ほどの滞在でしたが、もう一度来た時にも、また新たな発見があると思える奥の深いスポットでした。

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称 生野銀山
所在地 兵庫県朝来市生野町小野33−5
問い合わせ先 079-679-2010 | 株式会社シルバー生野
休業日 12月~2月の3ヶ月間のみ毎週火曜日
料金 大人:900円、中高生:600円、小学生:400円、小学生未満:無料
駐車場 無料駐車場
公式サイト http://www.ikuno-ginzan.co.jp/index.php
wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/生野銀山
食べログ -
トリップアドバイザー https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1022837-d1384557-Reviews-Ikuno_Ginzan-Asago_Hyogo_Prefecture_Kinki.html
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