原田の森ギャラリー
はらだのもりぎゃらりー □兵庫県神戸市
市民芸術の地に相応しい、絶妙な建築デザイン。
「原田の森」というこの地は、大正時代に新進の芸術家たちが新興美術運動を巻き起こした場所であったそうです。そんな歴史を鑑み、1970年に兵庫県立近代美術館がこの地に誕生しました。神戸で催される大規模な展覧会も、長らくこの美術館で行われてきました。2002年に海に近いHAT神戸に兵庫県立美術館が新設され、主要な展覧会もなくなり、また当初からの収蔵作品も引越しました。
でもこの場所に残ったのは、昭和時代のモダン建築が感じられる建物と、かつて新興美術運動が生まれた原田の森の記憶。今もそれらを大切に、市民に開かれた施設として親しまれているのが原田の森ギャラリーです。位置づけとしては兵庫県立美術館の分館として、一般に広く開放されて市民の美術活動や展示、交流の場となっています。
1970年に「兵庫県立近代美術館」としてこの地に誕生し、長らく神戸での大規模な展覧会はここで催された。
2002年に「兵庫県立美術館」の分館として再スタートした。
「横尾忠則現代美術館」も併設されている。
直線と曲線の、あまりに美しき配合。
そして個人的に気に入っているのが、原田の森ギャラリーの建築についてです。外観は白を基調にしたシンプルな直線的構成で、ただし随所に水平垂直ではない角度が交わるデザイン。そこに窓や建具に用いられた曲線がアクセントを効かせて、特色ある建物となっています。
内部も徹底してそのスタンスであり、空間を区切る境界線は直線なのですが、階段の手すりや窓に見られるアール・ヌーヴォー的曲線が見事なバランスで融合しています。思わず見る角度全てから写真を撮ってしまいたくなる絶妙なデザインです。
建物は白を基調にしたシンプルで直線的なイメージだが、ところどころで水平垂直ではない角度が交わるデザインが印象的。
館内から見る中庭と建物。
ピロティの前には植栽が設えられている。
特に印象的な階段室。
全館を通して、外の光を心地よく取り込んでいる。
村野藤吾氏の想いが、今まさに開花する。
設計は大丸神戸店や大阪の新歌舞伎座を手掛けた村野藤吾氏。後半の作品になるにつれて、一般市民のための建築を目指すようになったといいます。確かに、原田の森ギャラリーの館内には、利用者の利便を保ってなおデザインを追求したことをふと感じるのです。そんな実用的な側面も考え抜かれたこの建物で、今日も様々な市民による芸術活動が行われていることは、今は故人となった氏も本望なのではないでしょうか。
ちなみに西館として利用されていた建物は、改修されたうえで2012年から横尾忠則現代美術館として運用されています。合わせて鑑賞するのもまた、この場所ならではの楽しみ方です。
設計は大丸神戸店や大阪の新歌舞伎座を手掛けた村野藤吾氏。今日も様々な市民による芸術活動が行われている。
扉の取手さえ個性的なデザイン。
館内のバリアフリーのスロープ。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 原田の森ギャラリー |
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所在地 | 兵庫県神戸市灘区原田通3丁目8−30 |
問い合わせ先 | 078-801-1591 | 原田の森ギャラリー - 兵庫県芸術文化協会 |
休業日 | 月曜日、年末年始 |
料金 | - |
駐車場 | 有料駐車場 |
公式サイト | https://hyogo-arts.or.jp/harada/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/原田の森ギャラリー |
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