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題目踊り・さし踊り 題目踊り・さし踊り

題目踊り・さし踊り

だいもくおどり・さしおどり □京都府京都市
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700年続く伝統は、送り火の精神を今に伝える。

題目踊り・さし踊り

京都盆地の北部、五山送り火のひとつである「妙法」が焚かれるあたりは松ヶ崎と呼ばれるエリアです。平安時代、貴族の別業(別荘)が多く造られた地域で、皇室も修学院離宮を構えたのもこの近く。大原・八瀬に源流を発する高野川の清流が地域を潤し、豊かな自然と文化が交錯するエリアです。
松ヶ崎に涌泉寺という、小さなお寺があります。ちょうど「法」の字が見られる山の、すぐ麓です。このお寺の境内で毎年8月15.16日に行われる行事が、題目踊りとさし踊り。特にさし踊りは、日本の盆踊りの原形とも言われているもので、もう700年以上続いている大変貴重な祭りなのです。

提灯が風情を醸し出す、涌泉寺の境内。

題目踊り・さし踊り

松ヶ崎立正会という保存会が執り行っているのですが、実はこの会の方達がすぐ背後にある「妙法」の点火消化を担っています。だから16日は、踊りが始まるのも妙法の火が消えたあとから。提灯が風情を醸し出す境内に、お揃いの着物を着た男性達が山から降りてきます。また集落からは女性を中心に集まりだし、徐々に境内に人が増えてきます。
涌泉寺の門をくぐる時すでに感じていましたが、とてもとても厳かな行事です。観客が円になって見守る中、境内の広場の真ん中におもむろに和太鼓が置かれ、目立った合図もなく突然、題目踊りが始まります。

音の波が体に沁み入ってくる、題目踊りの世界観。

題目踊り・さし踊り

和太鼓を挟んで両側に男性の集団と女性の集団が向き合い、交互に「南無妙法蓮華経」と独特の節回しで題目を唱えます。それを囲むように輪になった踊り手が、手に持った扇子を優雅に翻しながら踊ります。その昔、松ヶ崎集落の全員が日蓮宗に改宗し、それを祝うことから始まったとされ、以来700年以上も受け継がれてきたもの。変わることのない人々の深い信心が、荘厳な祭り囃子となって聴く者の心に届きます。音の波が体に沁み入ってくるような、独特の世界観と体感でした。

日本最古の盆踊りとされる、さし踊り。

題目踊り・さし踊り

休憩を挟んで続くのは、さし踊り。和太鼓の代わりに、広場の真ん中には櫓が出されます。その中で8人の方が音頭を取ります。その唄に合わせて、踊り手は題目踊りよりも大きな振付で踊ります。拍子木や手拍子もあり、飛び入りもあり、踊りの輪もいつしか大きく、さらに二重になり…。まさに盆踊りです。盆踊りの元祖と呼ばれる、その過程を見ているようで感銘を受けました。
京都では送り火の夜は極力電灯が消され、街は昔ながらの闇をまとい、そして静寂に包まれます。京の奥座敷とも言える、ここ松ヶ崎ではその静寂さはさらに際立ちます。題目踊りとさし踊りは、その静けさの中で行われる神聖な儀式。700年以上続くという伝統を誇りとともに受け継ぎ、これからも守り続けていく。素晴らしい、かけがえのない日本の伝統文化を目の当たりにした夜でした。

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アクセスマップ

詳細情報

名称 題目踊り・さし踊り
所在地 京都府京都市左京区松ケ崎堀町53
問い合わせ先 072-737-1440 | 涌泉寺
休業日 無休
料金 -
駐車場 無料駐車場
公式サイト http://www.yusenji.com/
wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/涌泉寺
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