東大寺・大仏蛍
とうだいじ・だいぶつほたる □奈良県奈良市
東大寺境内に花開く、光の祭典。
奈良で育った身ですが、小さい頃には聞いたことがなかったのが東大寺の大仏蛍。いつの頃から有名になってきたのかは分からないですが、ふと蛍の名所を調べていた時にその名を目にしたので、さっそく見に行きました。
東大寺は数えられないくらい訪れていますが、普段はほとんど行かない、大仏殿の裏手で大仏蛍が見られるとのこと。大湯屋と呼ばれる、銭湯の原型とされる建物のあるあたりです。
訪れたのは6月の中旬。大仏蛍のピークと言われる時期で、雨の後、蒸し暑く風もないという絶好のタイミングでした。
世界遺産であり奈良随一の観光名所である東大寺で、知る人ぞ知る蛍の乱舞。大仏殿の裏で。
地道な活動で、保護に努めてきた。
このあたりには若草山方面から流れてくる小川があり、その名もないような小さな川が大仏蛍の住処です。大湯屋にたどりつく200mくらい手前から、少し頑張って飛んできた蛍でしょうか、数粒の淡い光が暗闇を舞っています。
大仏蛍は、東大寺で見られることで付けられた愛称で、種としてはゲンジボタルです。昔から蛍の名所として親しまれてきましたが、一時は絶滅が心配されるほどに数を減らしたそうです。それがちょうど私が子供時代の頃。このため平成3年に大仏蛍を守る会が発足され、今日まで地道な活動で保護に努めてきたそうです。川の周辺に住む近隣の方々の尽力や、幼虫の飼育放流、餌になるカワニナの放流など、コツコツと蛍が自然の中で見られるように環境を整えてきたとのこと。その甲斐があって、今では十分な数の元気な蛍が見られるようになりました。
蛍が見られるのは、13世紀に鋳造された鉄製の湯船がある浴場「大湯屋」の周辺。
夜になっても鹿たちは草を食んでいた。
蛍を誘うように満月が昇っていた。
光の粒は大きく、そして優雅に。
さて、期待を胸に大湯屋あたりまで歩くと、そこは想像以上の蛍の乱舞でした。今までわざわざ遠くの山奥まで出かけては見ていた蛍が、まさかこんなに街の近くで見られるとは思いませんでした。
大切にされている分、大仏蛍も恩返しせてくれているのか、普通の蛍よりも明るく、元気に見えます。あたりに照明がほとんどなく、かなり暗いこともあるかもしれないですが、光の粒は大きく、そして優雅に宙を舞っています。今まで見たどんな蛍より、本当に美しいです。どこへ向かって舞っているのか、優美で風来坊な動きは見ていて飽きません。やわらかな光の明滅も、催眠術にかけられるようにうっとりと見とれてしまいます。
ふと飛び出した蛍は、大湯屋の屋根の方まで上がっていきます。あまり、遠くへ行かない方がいいよと、思わず言ってあげたくなります。時間を忘れてしばらく、東大寺境内に花開いた光の祭典を楽しみました。
光の粒は大きく、そして優雅に宙を舞っていた。写真では分かりにくいが、想像以上の蛍の乱舞が見られる。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 東大寺・大仏蛍 |
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所在地 | 奈良県奈良市雑司町 |
問い合わせ先 | 0742-22-5511 | 東大寺寺務所 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | なし |
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LAST VISIT | 201906 |
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