犬島家プロジェクト
いぬじまいえぷろじぇくと □岡山県岡山市
小さな島にも芽生えた、家プロジェクト。
わずか人口50人ほどの小さな離島にも、直島で有名な家プロジェクトが展開されています。直島と同じくベネッセコーポレーションが企画運営に携わり、過疎化が進んでいた小さな島に新たな風を呼び込んでいます。
犬島は周囲約4kmほどのとても小さな島。港の近くに昔からの集落があり、犬島の家プロジェクトの舞台となっています。直島と同じように、船の発着場にチケットセンターがあって、犬島のもうひとつのアートプロジェクト「精錬所」と合わせて購入できます。
アートの島・直島で展開されていた「家プロジェクト」が、犬島へ上陸。過疎化が進んでいた小さな島に新たな風を呼び込んだ。
意味深なメッセージを読んで、犬島の旅が始まる。
犬島港から最も近い丘の上にある作品「F邸」。
入り組んだ路地に入っても、なぜか感じる海の気配。
集落を歩き始めるとすぐに、今も昔と変わりなく続く島の暮らしが見えてきます。家々の軒先には何かしら海とのつながりを想像できるものがあり、島の生活が瀬戸内海と一体となったものであることがよく実感できます。天高く輝く夏の太陽は真上から照りつけ、集落に影という影を作りません。訪れた時の犬島はどこもかしこも明るく照らされ、庭先の緑や空き地の土さえも、太陽を照り返して輝いています。
観光客は多いものの、島そのものはとても静かで穏やかな雰囲気。入り組んだ路地に入っても、なぜか感じる海の気配。静かだから、角を何度か曲がっても潮騒が聞こえそうな気がします。空は抜けるように青く、海を映した鏡のよう。止まって動かない雲が夏を実感させてくれます。
昔からこの島にあったものを大切に残すことから始まる。写真は島の守り神である「山神社」の岩と祠。
家プロジェクト「S邸/コンタクトレンズ」。
島のあらゆる場所に詩的なシーンがある。
日常の中に練り込まれた、アートや建築。
犬島の家プロジェクトは、そんな町の中に4つの作品が点在します。基本的には、今や世界的に知られた建築事務所であるSANAAの妹島和世氏の建物の中に、現代アート作家柳幸典氏の作品が展示されるという構成。犬島の集落の中に溶け込むように展開し、日常の中に練り込まれたアートや建築が魅力です。
港から一番近い「F邸」は、石の神が宿る神社の隣、民家をリノベーションした作品。室内に据えられた巨大なネオンのアートが印象的です。そこから町を時計回りに一周すると、連続する曲線のアクリル壁が印象的な「S邸」に着きます。中には蜘蛛の巣のようなレースが掛けられ、13本の矢が刺さるオブジェが意味深。
家プロジェクトでは音や視覚に訴えるテーマや映像を駆使したアートが組み込まれ、訪ねるたびに感覚が揺さぶられる。
港の方へ戻る道沿いにあるの「I邸」。
犬島チケットセンターから全てが始まる。
この町の中に本当に溶け込んだ時に、もう一度。
さらに歩くと「中の谷東屋」。鏡面の円形屋根には、見る角度により様々な景色が映り込みます。屋根の下にはSANAA作品のラビットチェアが並べられ、作品巡りの休憩所としてちょうどいい感じ。座って音を立てると、屋根の反響音が面白いものです。そして港の方へ戻る道沿いにあるのが「I邸」。建物の中には人の目の中に写し出される様々な映像が流れ、庭にはたくさんの花、そして花畑の横でも人の目の映像作品も展示されています。
直島のそれと比べると、どれもこぢんまりとしたものですが、犬島の雰囲気には合っていて楽しめました。ただ直島の場合は、特に島の人々や生活が作品によく投影され、またその作品との強い結び付きのようなものを感じましたが、犬島の場合はまだそこまで感じとることができなかったのが実感。この町の中に本当に溶け込んだ時、もう一度訪ねてみたいなと思いました。
島を歩くのはアートの中を歩くのと同じ。「中の谷東屋」では束の間のひと休み。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 犬島家プロジェクト |
---|---|
所在地 | 岡山県岡山市東区犬島 |
問い合わせ先 | 086-947-1112 | 犬島アートプロジェクト |
休業日 | 火曜日(冬季は月~木曜日) |
料金 | 大人500円、15歳以下無料 |
駐車場 | なし |
公式サイト | https://benesse-artsite.jp/art/inujima-arthouse.html |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/犬島アートプロジェクト |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | - |
LAST VISIT | 201107 |
※掲載のデータは当ページ更新時点でのものです。以後の変更や詳細な情報につきましては、ご自身でお問い合わせの上ご確認いただきますよう、あらかじめご了承ください。