岸井うどん・讃岐うどん

ビニールハウスが店舗、人気は「肉玉ぶっかけ」。

善通寺市内を金刀比羅宮へ向かう国道319号線の途中、突然目に飛び込んできた一本の行列。店名が出ていないものの、表にはうどんの三文字の看板が。どうやら人気の讃岐うどん店のよう。そしてその行列が続いている先にあるのは、ごくありふれたビニールハウスでした。ガイド本などでチェックしていなかったので、その衝撃的な光景は、迷わずそのビニールハウスへ足を向かわせました。
店名は岸井うどん。数年前に本業である蘭などの栽培の副業として始めのだそう。ホールから厨房まですべてビニールハウスという破天荒な店舗と、自己流を突き詰めたこだわりのうどんの味が話題を呼び、今では行列必至の人気うどん店となりました。

甘辛く煮込んだ牛肉が、惜しげもなくうどんの上に。

天麩羅やコロッケがぎっしり並んだカウンター越しにうどんの大小、ダシの種類、ひやあつを注文し、すぐに出てくるのを受け取り席に着きます。
岸井うどんで、通も好むメニューとして人気なのが「肉玉ぶっかけ」。すき焼きのように甘辛く煮込んだ牛肉が惜しげもなくぶっかけうどんの上に乗った一杯。期待も一杯に卵をかき混ぜ、湯気とともに立ち上る小麦とダシの香りからまず楽しみます。麺は比較的太めで、団子を連想させるようなモチモチとした食感が特徴。すべて手切り、粗めにカットしてあるので太さが不揃いであったりするのですが、それがまた素朴な雰囲気を出しています。それに強いねじれも特徴的で、まさに手打ち手切り感が全開のうどんです。たっぷり盛られた牛肉の煮込みも、翌朝のすき焼きみたいに旨味が凝縮されていて、あっさりしたうどんとの相性が抜群です。
訪ねたのは寒い真冬の日でしたが、ビニールハウスの中だけあって店内は立ち込める湯気と人の熱気で暖かく、さらに熱いうどんを食べると行列で冷えた体が一気に温まりました。

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