室津PA
むろづぱーきんぐえりあ □兵庫県淡路市
瀬戸内が赤く染まる、美しい夕焼けの名所。
小さなパーキングエリアなんて特に紹介するほどのこともないんですが、ここ室津SAから見た夕日が美しくて、もうひとつの個人的な理由でとても印象に残ったので。
爽やかな秋晴れの行楽日和、淡路鳴門自動車道。明石海峡大橋へ向かう上りの渋滞はすぐそこまで迫っているそう。ラジオの道路情報によるとまだまだこの先の渋滞は解消されそうもなく、どうせ時間がかかるならと、太陽が沈むまではまだしばらく時間はありましたが、暮れゆく一日を確かめるために室津PAで夕暮れを待つことにしました。
室津PAは海際の高台にあります。瀬戸内海を一望することができ、風光明媚な景色が広がります。見下ろす室津港は、江戸時代には参勤交代の時に西日本の大名が船で室津にやってきて、そこから陸路江戸を目指した海と陸の接点。宿場町として栄えたそうですが、今は当時ほどの賑わいはなくひっそりとしています。
パーキングエリアとしては規模は小さいが、絶景の夕陽が見られる場所として人気を集めている。
東側には淡路島北部を縦断する津名山地を望む。
上空から見た室津PA。海も美しい。
だまされたみたいに寒くなる、秋の夕暮れ。
車を止め、際のベンチで瀬戸内海と小豆島を眺め、太陽がその大きさを増し、紅蓮に色づくのを待ちます。少し汗ばむくらいの、半袖か長袖か迷ってしまうような陽気だった昼を思えば、だまされたみたいに寒くなる秋の夕暮れ。一旦車に戻り、一枚羽織ってその時間を待ちます。数匹の野良猫が、誰かにもらったメザシの山に不用心な様子で没頭しています。そばには子猫が二匹。もう十分な量を食べたのか、彼らは一足先に毛繕いを始めています。やっぱり寒いみたいで、ぴったりと寄り添いながら、時々自分にするのと同じように相手の体を熱心に舐めています。
室津PAは播磨灘に沈む夕陽の名所として知られ、「日本の夕陽百選」にも選ばれている。
播磨灘は驚くほど凪いだ海で、空をそのままに映すようだった。
室津PAからは圧巻の夕焼け空が楽しめる。
線香花火の赤玉みたいな、真っ赤な太陽。
ふと海に目をやると、さっきよりずっと夕日は大きくなっています。たっぷり大きくなった線香花火の赤玉みたいに、よく見るとビリビリと揺れているような真っ赤な太陽。そこらじゅうを赤色に染めながら、風景の中では他の何よりも速いスピードで動いています。夕日は一瞬一瞬に空のグラデーションをより濃く色づけ、たなびく雲のシルエットが風景に一層豊かな表情を与えます。
子猫の兄弟の横には、いつしか母親が寄り添っています。とても安心したような子猫たちは、さっきより体を楽にしてリラックスしている様子。でも今、彼らの姿はクライマックスを迎えた太陽のせいで、その影の形でしか見ることができません。一匹の子猫が大きなあくびをしました。まるで夕日を一口に食べてしまいそうなくらい大きなあくびです。
室津PAには野良猫たちがたくさんいて、夕焼け空を背景に思い思いに過ごしていた。
見えない世界から、こちらの世界に語りかけてくる夕日。
やがて手前の島に隠れるようにして夕日は沈みます。形が線になり、線が点になり、最後の小さな小さな点がポッと消え、線香花火が燃え尽きるようにして地平線の向こうに姿を消しました。それでもなお、見えない世界からこちらの世界に語りかけてくる夕日。まだまだ描き足りない画家みたいに、空の色を塗り直しています。劇的で絢爛な空がゆっくりとゆっくりとその色を落としていく様子は、いつまでも美しいもので、振り返る暇もない毎日の中で久しぶりに見た夕暮れでした。そしてそんな夕暮れの一幕を、両親と眺めたのも記憶にないくらい久しぶりでした。真っ赤な太陽に顔を染めながら、家族であることの有り難さや大切さをしみじみと感じた、印象的な時間でした。
夕陽はやがて線香花火が燃え尽きるようにして、地平線の向こうに姿を消した。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 室津PA |
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所在地 | 兵庫県淡路市室津 |
問い合わせ先 | 078-291-1077 | JB本四高速ロケーションサービス |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | http://www.jb-highway.co.jp/sapa/murozu_up.html |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/室津パーキングエリア |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1022838-d3439029-Reviews-Murozu_Parking_Area-Awaji_Hyogo_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202008 |
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