小布瀬の滝

しなやかな滝が造り出す、幽玄の光景。

しっかりとした深い闇が降りた山中の国道220号線を走っていると、突然出くわしたたくさんの赤い提灯。それは国道を外れ、細い道へと誘うように真っ暗な森の中へ続いていました。
祭りでもあるのかとバイクを路傍に停め、赤提灯を頼りに闇の細道を進んだんですが、他には誰もおらず、そして静けさはより一層深みを増し、心細くなるばかり。
しかし、進むにつれてだんだんと大きくなる音がありました。それはせせらぎの音。遊歩道を照らす赤提灯はそのせせらぎの姿を照らしはしないですが、確かに足元には豊富な水量の小川が流れているようです。

訪ねたのは夜だったが滝はライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれていた。

赤提灯に導かれるように、歩みを進める。

小さな標があり、どうやらその先には小布瀬の滝という滝があるようです。やはり赤提灯に導かれるように歩みを進めると、やがてライトアップされた大きな滝が現れました。
小布瀬の滝は高さ23mほどの直瀑。切り立った崖の上からは、さらし木綿のように美しく均整の取れた姿で流れ落ちます。よく見ると滝の落ち口は崖の最上部ではありません。水は崖を細く鋭く、縦一文字の線状に削り取っていて、崖に刻まれたその切れ込みの一番下から流れ落ちています。だからちょうど断崖の途中から、例えばダムの放水のように落ち出ています。小布瀬の滝の美しさは、それが故なのかもしれません。とても優雅でしなやかな滝です。

滝までの道は足元も見にくいほど暗かったが、提灯が暗闇の中に導くように灯っていた。

ライトアップされた夏の夜の滝は、とても神秘的。

そして滝壺を囲みそそり立つ岩壁は、巨大なアンテナみたいに凹面の形をしていて、一筋に流れ落ちる滝の音を反響させています。緑色のライトで照らされた滝はとても神秘的です。このライトアップは盛夏だけのイベントのようで、あの赤提灯のおかげで思いもしなかった絶景に出会えました。この夜の滝、幽玄の光景、本当に一見の価値ありです。

小さく空いた穴のような滝口から一筋、高さ23mの美しい滝だった。

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