地獄谷の池
じごくだにのいけ □奈良県奈良市
鬱蒼とした森に隠された、四季を映す水鏡。
緑豊かな大自然の散策路、柳生街道を歩きます。鬱蒼とした森、途切れることなく聞こえる小鳥のさえずり、せらせらと流れる小川に沿う道は、普段の記号化された生活とはあまりにも対極にある、まるで別世界にいるような感覚です。限りなく優しい叙景に癒され、森と語り合いながら歩みを進め、首切り地蔵を越えたあたりに、小径が緩やかな登り坂になるところがあります。
木々の合間から坂の向こうに空が見えます。ちょっとした丘になっているよう。坂の上は森ではなく開けているようで、青い空が見えているんです。森の陰の中をずっと歩いてくるので、そんなに大きな空を見るのは久しぶりのように感じます。
柳生街道の深い森の中に、その名とは真逆の平和な水面を湛える池。そして鏡のように空の表情までを写している。
標木には「地獄谷園地.新池」と書かれていた。
池の堤防の下から見上げると、空が見えた。
穏やかな水面は、鮮明に景色を写し取る。
その丘の上には、小さな池がありました。池畔は大いに茂る木々が、池に被さるように成長しています。ちょうど梅雨が明けた時期、たっぷりの水分を補給した森は、今まさに夏に向かって伸びやかに繁茂しだしたようです。水面にはそんな力強い森がそのまま映し込まれています。どちらが本物なのか分からないくらい、穏やかな水面は鮮明に景色を写し取っています。青い空をめぐる白い雲も、いつもより近くに感じます。
なにか特別な秘密の池を見られたようで、畔の木陰からしばらく水面と森と空を眺め、瞼にその風景を焼き付けました。
水面は本当に鏡のような静けさで、目に入る景色の全てをそのままに映し込んでいた。
完璧な平和に、満ちた世界。
深い森の中に滔々と水を湛えるこの池の周辺は、地獄谷園地と呼ばれます。滝坂の道に寄り添う能登川の源流で、標高は366m。地獄谷とか、首切り地蔵とか、なんだか恐ろしい名前に取り囲まれていますが、池は限りなく優しくて、あたりは自然と笑みがこぼれるような完璧な平和に満ちています。池には小さな橋も架かっていて、廻りを一周することができます。小さな雨蛙が葉先に座っていたり、見上げれば誰が置いたのか小鳥の巣箱があったり。
冬には凍ることもあるそうですが、その直前の晩秋、今は様々な種類の緑色を映す水面が、鮮やかな紅葉を映す季節もまた見頃。柳生街道の深き森の中にある、静かな鏡のキャンパスです。
小さな雨蛙が葉先に座っていたり、見上げれば誰が置いたのか小鳥の巣箱があったり。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 地獄谷の池 |
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所在地 | 奈良県奈良市春日野町 |
問い合わせ先 | 0742-34-1111 | 奈良市観光課 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | なし |
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LAST VISIT | 200706 |
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