琵琶の滝

平家悲運の伝説を語る、一条の白い滝。

祖谷渓の一大名所、かずら橋からほど近くにある滝です。高さ約50mから、細く一本の白糸のように流れ落ちる琵琶の滝。それは容姿端麗なとても美しい滝です。昔平家の落人たちが、華やかかりし京の都を偲んでこの滝で琵琶を奏で慰めあったという伝説から、いつしか琵琶の滝と呼ばれるようになりました。
滝というものがいつもそうであるように、このエメラルドグリーンの滝壺にも清々しい空気の塊が微動しながら漂っています。

体の隅々まで、森と水の粒子が染み渡ってくる。

50mもの高さを落ちているとは思えないくらい静かな滝で、その落ち着いた音は荘厳な雰囲気をさらに高めているようです。小さな緑の妖精が、羽根をひらひらと揺らせながら空中遊泳をしていそうな滝壺。しばらくじっとしていると、体の隅々まで森と水の粒子が染み渡ってくるように感じます。
白く引かれた一本の絹糸のような琵琶の滝を眺めていると、やがて自分の体の中にも、一本の綺麗な芯が通ったように、安らかでスッキリとした気分になりました。

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