熱海温泉・日航亭大湯

昭和の面影感じる空間と、掛け流しの湯。

日本有数の人気温泉街・熱海温泉。風情があってちょっと冒険的なイメージのする古豪の温泉街。町には浴衣姿の宿泊客がカラコロと音を鳴らしながら歩き、今となってはどこか寂しささえ含む風情あふれる町影には、肩肘はらないくつろぎがあり、気取らない非日常にあふれています。
そんな熱海の町を訪れるたびに、立ち寄ってしまうのが日航亭大湯。近くには「大湯間欠泉」があり、それは熱海の名所の一つでもあります。かつては自然の間欠泉でしたが、今は人工的に調節しているそうです。

ふと、懐かしい気持ちが湧いてくる館内。

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この日航亭大湯の素敵なところは、なんといっても気の張らない、ざっくばらんとしたゆる〜い雰囲気。今は日帰り施設ですが元々は古くからの温泉旅館で、ふと懐かしい気持ちが湧いてきてしまう館内は、昭和の面影を感じる佇まい。みしみしと音のしそうな廊下に、がらがらと音をたてる引き戸が味を出しています。初めて訪ねても、以前から通い慣れた銭湯に行ったような気安さ。暖簾をくぐれば普段から身の
まわり回りに張りつめたバリアが解きほぐされ、そのまま湯につかれば安堵のため息と開放感。

熱海では数少ない、かけ流しの温泉。

お湯は無色透明でやや塩味のする食塩泉。敷地内にある源泉から湧き出し、熱海では数少ないかけ流しの温泉です。大湯はかの徳川家康も愛した湯で、わざわざ江戸や京都まで運ばせたり、お忍びで湯治に訪れたりしていたそうです。
湯から上がったあとは、縁側のある、畳敷きの大広間でのんびりとくつろげます。夏でも冬でもサイダーを片手に、どこを見るでもなくぼんやりと空気の塊のようなものを眺めます。まだまだ体が温かく、徐々に徐々に周りの温度に馴染んでゆくのを待ちます。この空間でのこの時間が、僕にとって日航亭大湯で一番好きな瞬間です。

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