でこまわし

人形浄瑠璃に見立てた、祖谷の素朴な郷土料理。

でこまわしとは、阿波の秘境・祖谷地方の名物です。地元で採れるじゃがいもの一種で「ごうし芋」、豆腐、こんにゃくを長い竹串に刺し、風味豊かな柚子味噌をつけ火鉢などに挿して炭焼きにしたもの。
串をくるくる回して焼いたり、食べる時にも熱い串を回したりする様子が、古くから淡路より伝わって盛んだった人形浄瑠璃に出てくる木偶人形(＝でこと呼ばれていました)を操るのに似ていることからそう名付けられました。
かずら橋の近くにある茶屋で、でこまわしをいただきました。火鉢の回りに並ぶ沢山のでこまわしの中から、よく焼けていそうなものを選びます。ほどよい熱さの具はどれも素朴な味で、表面がちょっとだけ芳ばしく色付いた柚子味噌とよく合います。炭火の香りがほどよく馴染んでいて、味も香りもこの秘境にあって際立ちます。

木漏れ日のウッドデッキで、素朴なでこまわしをいただく。

清流・祖谷川から聞こえるせせらぎ、木立ちの間をそよ風が吹き抜け、頭上からはさらさらと葉擦れの音が心地良い昼下がり。そんな木漏れ日のウッドデッキで素朴で武骨なでこまわしを食べるのは、竹串をくるくると回しながら、なんとも贅沢なシチュエーションです。
それと、でこまわしの隣で、同じように火鉢の竹串で焼かれていたアメゴの塩焼き。そして名物・祖谷そば。この辺りでは外すことのできない3品セット、潤い豊かな大自然の中、野鳥のBGMでいただける太鼓判の郷土料理です。

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