備前焼

土に形を与え焼く、それを究極まで深めたもの。

釉薬は一切使用せず、絵付けもせず。土に形を与え、ただ焼く。愚直なまでに土本来の良さ、美しさを表現し、その武骨さとは裏腹な繊細さと深い趣を秘める備前焼。華美な装飾を持たず、それだけに真っ直ぐに語りかけてくるその存在感は、飽きさせもせず、使い続けるほどに風格を漂わせて魅力を増してゆきます。
日本の六古窯として数えられる中でも最も古くから火が焚かれ、平安時代から陶芸が盛んだった備前地方。今もJR伊部駅のあたりには、煉瓦を積み上げた四角い煙突がたくさんそびえていて、窯業の町として栄えています。町のあちこちに赤い煙突が立ち並ぶ光景は、とても趣きがあります。

「落としても割れない」と言われるほどの固さ。

備前焼は「落としても割れない」と言われるほどの固さも特徴。なんと戦時の金属不足の際には備前焼による手榴弾が試作されたこともあるそうです。その丈夫さ故に古来から重宝され、桃山時代の茶道によって全国的に広まりました。味わい深いシンプルな特色も合わせて今も劣らぬ人気を誇り、各窯では体験教室も盛んに行われ盛況を見せています。JR伊部駅近くには備前焼伝統産業会館や備前陶芸美術館があり、備前焼の歴史や貴重な作品に触れることができます。

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