高知龍馬空港

飛行機は、広大な田園風景から飛び立つ。

国内の空港で唯一人名のついた空港である高知龍馬空港。以前は単に高知空港と呼ばれていましたが、土佐が生んだ偉大な志士・坂本龍馬への誇り、そして地域活性の意味も込めて2003年に愛称化されました。
かつて戦時中に旧海軍の飛行場として建設され、特攻隊の出撃にも使われたという高知龍馬空港。昭和27年から民間の空港として使われるようになりましたが、今でも空港の周辺には、航空機を攻撃から守るための格納庫である掩体壕が複数残っているそうです。

photo_by_HideyukiKAMON_CC_BY-SA_2.0_from_flickr.com

元は日本軍の空軍基地として建設された。今は南国の雰囲気も感じさせる空港で、高知への空の玄関口として活躍している。

V字の隊列で飛んだのは、名前の分からない鳥たち。

特に飛行機に乗る予定はなかったんですが、高知の穀倉地帯と呼ばれる香長平野の、延々と広がる田園地帯から飛び立つ航空機を見ようと、夕暮れ時に訪れました。
とは言っても頻繁に離着陸のある空港ではないので、ひとつめの離陸を見るまではなかなかに時間があり、滑走路横にある展望所にて、夜に向けて徐々に表情を変える空を眺めながら暇を持てあましました。
やっと一機のプロペラ機が飛び立った時、空の色は溜め息が漏れそうなくらい綺麗な薄紫色で、他の飛行機が作った一条の飛行機雲がふやけていました。V字の隊列を組んだ名前の分からない鳥が山の方へ飛んでいて、どこからか野焼きの香りが漂う平野は、くすぶったような煙幕でぼやけていました。

photo_by_mandegan

暮れゆく高知の茜空を舞台に、田園地帯から飛び立つ飛行機を眺めていた。

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