谷川製麺所・讃岐うどん

青い屋根だけが目印、個性的な讃岐うどん。

ごくごく普通の民家が立ち並ぶ集落の中に、周りの家々と何ら変わりない外観で溶け込んでいるので、お店を見つけるまでにひと苦労します。谷川製麺所には看板さえないのです。ガイドブックのだいたいの地図と店の写真を頼りに何とか発見し、製麺所と続き間になった小さな部屋でいただきました。
谷川製麺所では他の讃岐うどん店にはない、独特のうどんを味わえます。打ちたてのうどん玉をどんぶりに入れてもらうと、給食台みたいな無機質なテーブルに無造作に置いてある大きな鍋から、谷川製麺所ならではのダシを自分ですくってどんぶりに注ぎます。

普通の民家の庭に建てられた倉庫のような建物。看板さえなく独特の店構えが魅力的だった。残念ながら2019年に閉店。

大根や人参やゴボウなど、野菜山盛りのうどん。

そのダシはとても具だくさん、そして他では見ることのない濁り。色は味噌汁のようで、刻まれた野菜がたくさん入っています。「鍋の底からすくうんよ」と店主からアドバイスをいただき、大根や人参やゴボウなど野菜山盛りのうどんとなりました。それらは隣の畑で採れる自家製の野菜だそうです。さらに冬には狩りで仕留めた猪肉も入ることもあるんだとか。野菜の甘味と旨味が溶け出したダシ汁はコクのある味わいで、もちもち感が特徴のうどんとよく絡みます。
しばらくして近所の常連客らしき方がやってきて、ほぼ無言、慣れた動作で僕よりさらに山盛りの野菜を乗せると、軒先のベンチで遠くを眺めながら食べてらっしゃいました。この店唯一の看板代わりの目印である鮮やかなブルーの屋根の下で、まるで日課のような淡々とした様子はなんだかとても絵になる光景でした。

野菜の甘味と旨味が溶け出したダシ汁はコクのある味わいで、もちもち感が特徴のうどんとよく絡んでいた。

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