大王埼灯台
だいおうざきとうだい □三重県志摩市
最果の地に立つ、灯台で感じる既視感。
その灯台は高台になった岩場の上にあり、自転車1台がやっと通れそうな細い坂道を5分ほど登って行きます。通り沿いにはうらぶれた小さなお店が並んでおり、最果の地であるような独特の雰囲気があります。そして坂道を登り終えた時なんですが、ふいに既視感を覚えました。もちろんこの場所を訪れるのは初めてなんですが、どこかで見た風景なのです。頭上では鳶が旋回しながら僕を出迎えてくれています。
太平洋の水平線が広がる。遮る陸地はなく、延々と大海原が続く。海は青く透き通り、青空をそのまま映しているかのよう。
夕暮れ時が迫る、灯台のある波切の町並み。
西から日差しを浴びて、青空に浮かび上がる大王埼灯台。
別次元の世界へと誘われる、不思議な感覚。
間違いなくここではないか。10年ほど前、祖父の白黒のアルバムのページを繰っていた時、特に印象に残りこっそりその1枚を抜いて持っていた灯台の写真。その写真には周りの景色や灯台の根元の部分は写っておらず、先端しか写ってないんですが、なぜか今目前にしている大王埼灯台の写真である気がしてならなかったのです。
入場料150円を払って中に入ると、ぐるりとコンクリート壁で囲まれた螺旋階段が始まります。最上部までは等間隔でいくつかの窓があり、そこから差し込む光を頼りにぐるぐると細い階段を上っていきます。陸の孤島のような場所で、灯台という必然性によってあるべき姿を与えられた螺旋階段を上がっていると、なにか上り終えると別次元の世界が待っているような不思議な感覚に陥ります。
明かりを灯す直前の大王埼灯台。高さは22.50mで、1927年に設置された。
塔内への入口は、意匠が施された庇が印象的。
灯台のデッキから下を覗くと、意外な案内が。
鳶と同じ高さから、大海原を眺める。
上りながら窓の数は数えることはできるけれど、そこが何階なのかはわかりません。最上部に着くと、太平洋を一望できる素晴らしい眺望が待っています。長い水平線が印象的です。麓の港町の表情も見て取れます。鳶と同じ高さから、この景色を眺めることができるんです。
自宅に帰り、今は亡き祖父の古い写真の裏に、メモ書きを見つけました。「昭和37年、大王埼にて。」50年以上前に、今は亡き祖父が見た景色。初めて訪れたのに不思議に懐かしい気持ちになった場所でした。そしていつまでもこの場所で、変わらぬ姿で火を灯していて欲しいと願うのです。
大王埼は夕日の名所でもあり、灯台の西側には美しい太陽光の柱ができていた。手前の大きなシルエットは、灯台のビュースポットでもある「八幡さん公園」。
コバルトブルーに変化していく太平洋と、どこまでも続く水平線。
やがて黄金色の反射が、海の上を渡った。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 大王埼灯台 |
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所在地 | 三重県志摩市大王町波切54 |
問い合わせ先 | 0599-72-1899 | 燈光会大王埼支所 |
休業日 | 荒天時 |
料金 | 大人:150円子供:20円((小学生以下)) |
駐車場 | なし |
公式サイト | http://www.daiozaki.com/ |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/大王埼灯台 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1019679-d1369658-Reviews-Daiosaki_Lighthouse-Shima_Mie_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 201011 |
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