紀州鉄道
きしゅうてつどう □和歌山県御坊市
2.7kmしかない、ノスタルジックなローカル線。
和歌山県御坊市を走る私鉄ローカル線、紀州鉄道。JR御坊駅と接続し、昔からの御坊の中心部を結ぶ路線です。地方のローカル線にありがちな、典型的な赤字路線。公式HPによると、1日の乗客数は500人とあります。ほんとに経営が心配ですが、この紀州鉄道が鉄道ファンから注目を集めている特徴は、路線の「短さ」です。営業距離はわずか2.7km。歩いても行ける距離。駅は全部で5駅しかなく、始発駅から終点までは8分しかかかりません。でも紀州鉄道のその「短さ」の中には、無数の魅力が詰まっていました。
発車を待つ、ガラガラの車両。
紀州鉄道はJR御坊駅の0番ホームを間借りしています。駅で切符は売っていなくて、バスみたいに車内で支払います。本来なら1両編成の小さな気動車に乗ってみたかったのですが、出発まで50分ほどあったので、今回は始発駅の御坊駅と終着駅の西御坊駅を見学することにしました。
御坊駅で待機する紀州鉄道の車両、駅構内の隅っこで秋空のもとに赤い塗装が目立ちます。その先の線路はJR線とはすぐに分かれて、南方面へカーブしているのが見えます。発車を待つガラガラの車両、西日を浴びて眩しそう。のどかな鉄道の風景です。
田畑の中を走り、民家の軒先をかすめて。
紀州鉄道は当然ながら全区間が単線。田畑の中を走り、民家の軒先をかすめて、のんびりと進みます。御坊の町も古く、他の地方都市と同じように賑わいが少なくなってきています。閉じた商店や空き家も混じる町と、紀州鉄道の年季の入った車体が重なり、ノスタルジックな光景が見られます。これは紀州鉄道の魅力のひとつかもしれません。
人知れず、旅の思い出が募る場所。
終着の西御坊駅では、その印象をより強くします。民家と民家の狭間に無理やり造ったような駅舎で、外観はもはや小屋のようです。相当な古さがあると思います。中には自由に入ることができます。紀州鉄道の歴史を伝える写真が展示されていて、この路線が町に愛されてきたことが伝わってきます。また机の上に置かれたノートには、さまざまな旅人の想いが綴られています。そう、ここは人知れず、旅の思い出が募る場所なのです。
思いがけず、見ごたえのある風景。
西御坊駅に1両の車両が停車しています。運転手はどこにもおらず、赤い車両は小さなホームにポツンと置き去りにされています。遠くから見ると、まさに町並みに埋もれています。町の片隅の、せせこましい駐車場に停まる車と同じように見えてきます。完全に町と同化した姿は、思いがけず見ごたえのある風景でした。列車はここで、また1時間に1回の出発を待っています。
不思議な景色、水路で途切れた線路。
ふと西御坊駅の裏に出た時に、不思議なものを見つけました。それは、終着駅のまだ向こうに続いている線路でした。しかし30mほどで水路があり、そこには橋はなく線路が途切れています。水路の向こうにはまた線路。そして町並みに吸い込まれるように続いています。
紀州鉄道が開通したのは1931年のこと。当初は西御坊駅からまだ先、日高川駅まであと0.7kmの区間があったのです。1989年に廃線になって以来、もう30年以上が経ちますが、まだこうして線路が残っているのです。そしてそれは、一部を除いて日高川まで続いています。駅舎跡は今も空き地。廃線ファンにとっても、紀州鉄道は見ごたえある路線だと思います。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 紀州鉄道 |
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所在地 | 和歌山県御坊市湯川町小松原(御坊駅) |
問い合わせ先 | 03-3230-2261 | 紀州鉄道株式会社 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | http://www.kitetsu.co.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/紀州鉄道線 |
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