玉津島神社
たまつしまじんじゃ □和歌山県和歌山市
和歌浦の景観と歴史を、全て知る古社。
風光明媚な和歌浦に一番近く、そしてこの辺りでは最も歴史のある玉津島神社。社伝によれば3世紀の神功皇后によって玉津島神の分霊が祀られたことに始まったと言われます。奈良時代には和歌浦を行幸した聖武天皇がその稀有な美景に感嘆し、この地の風致を守るため守戸を置いたと「続日本記」に記述があります。その時に聖武天皇に随行した歌人山部赤人は、あまりにも有名な歌「若の浦に 潮満ち来れば 潟を無み 葦辺をさして 鶴鳴き渡る」を詠み、いよいよ和歌浦が風流の地として多くの歌に詠まれる景勝地となりました。
夏の光を浴びて、明るさに満ちた境内。
平日の玉津島神社は、人も少なくひっそりとしています。でも夏の日差しが降り注ぎ、境内は朗らかな明るさに満ちています。ちょうど風鈴まつりが催されていて、ちょっとした風にも無数の風鈴が涼しげな音を立てています。
拝殿は新しい感じがしますが、その奥にある本殿は1606年に再建されたもの。でも境内のどこからも、本殿の全体像はしっかり見えません。
「玉津島」もまた、風流な歌枕。
玉津島神社の境内には、見ごたえあるものがいくつかあります。7本の松が複雑に絡み合った「根上がりの松」、小野小町が和歌の上達祈願で参詣した際にその袖をかけて歌を詠んだという「小野小町袖掛の塀」、初代紀州藩主である徳川頼宣が1655年に寄進した石灯籠など。また境内にはいくつもの歌碑があり、山部赤人以来の和歌の聖地であることがよく伝わります。「和歌の浦」は和歌の歌枕として知られますが、「玉津島」もまた歌枕として万葉の歌人に好まれたのです。
和歌浦を一望する、絶好の展望台。
玉津島神社で是非見ていただきたいのが、本殿の背後にある奠供山(てんぐやま)からの眺めです。拝殿の右手奥に、奠供山の山頂につながる細い階段があります。歩いていると蜘蛛の巣が体にまとわりついたり、樹液の匂いがする自然たっぷりの小道です。標高はたかだか30mほどなので、山頂にある展望所まではすぐに着きます。
そこからの眺めはまさに絶景です。和歌浦の干潟、片男波、雑賀崎まで、また視界の奥には四国の影と、悠然とした紀伊水道の眺め。和歌浦を一望する絶好の展望台になっています。昔はここに望海楼という宿があり、明治末から大正初期には日本初の屋外用エレベーターが設置されていたそうです。夏目漱石もこの宿を訪ね、そのことを日記に記しています。
山頂からの眺めを、万葉の頃に重ね合わせる。
玉津島神社の鳥居の向かいにも、奠供山と同じような鏡山という小山があります。こちらからも和歌浦の風光を愛でる眺望が楽しめます。和歌浦にはこのような低い山が多いのですが、万葉の頃は今よりも海水面が高く、それぞれが海にぽつぽつと浮かぶ島だったようです。津(海)に玉のように浮かぶ島、ということから玉津島と呼ばれるようになったといいます。万葉の頃を想像しながら、脳内の1300年前の和歌浦に、山頂からの眺めを重ね合わせてみるのでした。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 玉津島神社 |
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所在地 | 和歌山県和歌山市和歌浦中3丁目4-26 |
問い合わせ先 | 073-444-0472 | 玉津島神社 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://tamatsushimajinja.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/玉津島神社 |
食べログ | - |
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